店舗のインスタの投稿ネタは、「映える写真」を探すのではなく、来店前の客が知りたいことから逆算すると尽きません。何があって、いくらで、どんな雰囲気で、どう行けばよく、どう予約するのか。客が店を選ぶときに確かめる点は、業態が違ってもほぼ共通しています。この疑問を分類してネタの一覧にし、曜日ごとの型に当てはめ、撮影を月に1回まとめて行えば、少ない人手でも投稿は続きます。以下、ネタが続かない構造、分類ごとのネタの一覧、週の型と撮影のまとめ方、見る数字、投稿の前に確かめる点の順に説明します。

投稿ネタが続かない構造

毎回、特別な写真を探している

新商品や季節の限定品のような特別な題材は、月に何回もありません。特別な題材だけを投稿しようとすると、それが無い週は投稿が止まります。実際には、定番の商品、店までの道順、予約の方法といった、店の側から見ると当たり前の情報こそ、初めて来る客が知りたいことです。

撮る時間が営業の合間しかない

撮影、文章、投稿を、営業の合間に1人で行っていると、忙しい週ほど投稿が止まります。投稿が続いている店では、撮影する日と投稿する日を分け、撮りためた写真や動画から選んで投稿しています。

客の疑問に答えていない

店の側が伝えたいこと(こだわり、思い)だけを投稿すると、見た人が来店を決める材料が足りません。価格、席の数、駐車場の有無、予約の方法など、来店の前に確かめたい情報が見つからなければ、客は別の店を探します。

来店前の客が知りたいことから逆算したネタの一覧

次の表は、来店前の客の疑問を7つに分類し、それぞれに当てはまる投稿ネタを並べたものです。自社で出せるものに印を付けて、ネタ帳にします。

分類客の疑問投稿ネタの例向いている形
商品・メニュー何があって、いくらか定番の商品を価格つきで紹介、量や辛さなど選び方の目安、季節の限定品写真(複数枚)
作る工程どう作っているか仕込みや施術の手順、道具の手入れ、仕入れた素材の下ごしらえ短い動画
店の設備どんな店か席の種類と数、個室の有無、子ども連れの対応、段差や車いすでの入りやすさ写真(複数枚)
行き方・予約どう行き、どう予約するか最寄り駅から店までの道順、駐車場の場所、予約の方法、混み合う時間帯短い動画・写真
人誰が対応するかスタッフの紹介と得意なこと、担当の決め方写真
よくある質問気になることへの答え電話やレジで多い質問への回答、持ち帰りの可否、支払いの方法写真(文字入り)
お知らせ今、何が変わったか営業日・臨時休業、新商品の開始日、予約の空き状況写真・短いお知らせ

1つの分類から、店によっては数十のネタが出ます。たとえば「商品・メニュー」なら、定番の商品を1品ずつ紹介するだけで、品数分のネタになります。

保存・シェアされやすい形にする

Instagramの公式の説明では、フィードの表示順は、見た人が投稿を見る、コメントする、「いいね」する、シェアする、プロフィール写真をタップする、といった行動をどのくらい取りそうかの予測をもとに決まるとされています(Instagram「Instagramのランキングを解説」、2023年)。来店前の客にとって、価格の一覧や道順、よくある質問の答えは、あとで見返したり、一緒に行く人に送ったりする情報です。写真の1枚目に何の投稿かが分かる文字を入れ、2枚目以降に詳しい情報を載せる形にすると、見返されやすくなります。

週の型と撮影のまとめ方

曜日ごとの型を決める

投稿の日に、何を出すかを考えなくて済むよう、曜日ごとに分類を固定します。週3回投稿する場合の例です。

曜日分類投稿の例
月商品・メニュー定番の商品を1品、価格と選び方の目安つきで
水作る工程・人仕込みの様子の短い動画、スタッフの紹介
金行き方・予約・お知らせ週末の予約の空き、店までの道順

「行き方・予約」「店の設備」「よくある質問」は、一度作れば何度も使えます。プロフィールのハイライトや、固定の投稿にまとめておくと、初めて来た人がすぐに見つけられます。

撮影は月に1回まとめる

撮影の日を月に1回決め、次の手順でまとめて撮ります。

  1. ネタ帳から、翌月に出す題材を曜日の型に沿って並べる
  2. 題材ごとに、写真か動画か、縦か横かを決めた撮影の一覧を作る
  3. 開店前や休憩の時間など、客のいない時間に一覧に沿って撮る
  4. 撮った素材に、題材の名前を付けて共有の場所に保存する

同じ場面を、写真と縦の動画の両方で撮っておくと、1回の撮影で複数の形の投稿に使えます。

キャプションの型

キャプション(投稿の文章)は、次の順に書くと、読む人が必要な情報にすぐたどり着けます。

  1. 1行目に、何の投稿かを書く(例:「平日のランチの予約の方法」)
  2. 本文に、価格・時間・場所などの具体的な情報を書く
  3. 予約や問い合わせの方法を書く
  4. 地名や商品名など、来店を考える人が検索しそうなハッシュタグを付ける

見る数字

Instagramの中の数字と、来店の数字を分けて見ます。

見る数字分かること
投稿ごとの保存・シェアの数見返したい、人に送りたい情報になっているか
プロフィールへのアクセス投稿から店そのものに関心を持ってもらえたか
プロフィールのリンクのタップ予約やメニューのページに進んだか
来店時の「何で知ったか」Instagramが来店のきっかけになっているか

来店時に何で知ったかを聞く、予約のフォームに「当店を知ったきっかけ」の項目を設ける、プロフィールのリンクに計測用のパラメータを付ける、といった方法で、Instagramの外の数字を取ります。分類ごとに保存やリンクのタップの多さを比べ、反応の良い分類の比率を上げていきます。

投稿の前に確かめること

客やほかの人の写り込み

店内の写真や動画に、客の顔やほかの客の持ち物が写っていないかを確かめます。スタッフを紹介するときも、本人の了承を取ってから投稿します。

他のアプリの素材の流用

Instagramの公式の説明では、低い解像度の動画、他のアプリの透かしが入った動画、音声のない動画、以前に投稿された動画などが、おすすめに表示されにくい例として挙げられています(同上)。ほかのSNS用に作った動画を流用する場合は、元の素材から書き出し直します。

投稿のキャンペーンとステルスマーケティング

「店の写真を投稿してくれた方に割引」のような企画をするときは、景品表示法の告示(令和5年内閣府告示第19号)に注意します。消費者庁のQ&Aは、割引を条件に口コミの投稿を依頼しても、投稿の内容を指示していなければ、通常は「事業者の表示」に当たらないとする一方、「星5」を付けることや、商品を推奨するコメントを書くことを条件にすると「事業者の表示」に当たり、広告であることを明らかにしなければ告示に違反するとしています(消費者庁「ステルスマーケティングに関するQ&A」問6)。スタッフや、依頼した発信者に店の紹介を投稿してもらう場合も、広告であることを分かりやすく示します。

なお、Googleの口コミは別の決まりです。Googleは、口コミの投稿と引き換えに商品やサービスを無料や割引で提供することを禁じています(Google ビジネス プロフィール ヘルプ「クチコミを増やすためのヒント」)。Instagramの企画と、Googleの口コミの依頼を同じ条件で行わないよう注意してください。

Instagramを主に使うかどうかを決める段階なら、企業のSNSの使い分けで、ほかのSNSとの比べ方を説明しています。検索から来る客の受け皿はGoogleビジネスプロフィールの登録とMEO、口コミの集め方はGoogleの口コミを増やす依頼の設計、届いた口コミへの返し方は口コミへの返信の例文で扱っています。

出典

まとめ

  • 店舗の投稿ネタは、来店前の客が知りたいこと(商品と価格、工程、設備、行き方と予約、人、よくある質問、お知らせ)から逆算します
  • 曜日ごとに分類を固定し、撮影は月に1回まとめて行います
  • 1枚目に何の投稿かが分かる文字を入れ、見返したり人に送ったりしやすい形にします
  • Instagramの中の数字と、来店のきっかけの数字を分けて見ます
  • 客の写り込み、素材の流用、投稿の企画での広告の表示を、投稿の前に確かめます