ガントチャートをエクセルで作るなら、左側に作業名・担当・開始日・終了日の列を置き、右側に日付を横に並べて、条件付き書式で「開始日から終了日までのセル」を塗る方法が実務では使いやすい作り方です。開始日や終了日を書き換えるだけで横棒が自動で伸び縮みし、今日の位置や土日も色で示せます。Microsoft のサポートが紹介している積み上げ横棒グラフで作る方法もありますが、作業が増えたときの更新はセルを塗る方法の方が手間がかかりません。この記事では、数式つきの作り方の手順、グラフで作る方法との違い、余裕の日数の置き方を示したうえで、ガントチャートを作っても更新されなくなる理由と直し方を説明します。
2つの作り方の違い
| 作り方 | 向いている場面 | 長所 | 短所 |
|---|---|---|---|
| 条件付き書式でセルを塗る | 日々更新する工程表 | 日付を変えるだけで棒が動く。今日の線や土日も表せる | 期間が長いと列が横に広がる |
| 積み上げ横棒グラフ | 報告資料に貼る1枚の図 | 見た目を整えやすい | 作業を足すたびにグラフの範囲を直す必要がある |
進行中の案件の管理にはセルを塗る方法、経営会議や取引先への説明資料にはグラフ、と使い分けるのがおすすめです。
条件付き書式でガントチャートを作る手順
ここでは、A列にNo、B列に作業名、C列に担当、D列に開始日、E列に終了日、F列に日数、G列に状態を置き、H列から右に日付を並べる例で説明します。1行目は表題、2行目が見出し、3行目から作業です。
- 作業の一覧を書く:3行目から下に、作業名・担当・開始日・終了日を書きます。作業の洗い出しは、先に作業を階層に分けた一覧(WBS)を作っておくと漏れが減ります。作り方はWBSの作り方で扱っています
- 日数を計算する:F3に
=E3-D3+1と入れると、開始日と終了日を含めた日数が出ます - 日付を横に並べる:H2に案件の初日を入れ、I2に
=H2+1と入れて右へコピーします。セルの表示形式を「d」にすると日だけが表示され、列の幅を狭くできます。月が分かるように、1行目に月を入れておきます - 期間のセルを塗る:H3から右下の範囲(たとえば H3:BO60)を選び、[ホーム]タブの[条件付き書式]→[ルールの管理]→[新規ルール]で[数式を使用して、書式設定するセルを決定]を選びます。数式に
=AND(H$2>=$D3,H$2<=$E3)と入れ、塗りつぶしの色を設定します。日付が開始日と終了日の間にあるセルだけが塗られます - 今日の列に印を付ける:同じ範囲に、
=H$2=TODAY()のルールを足し、枠線や薄い色を設定します - 土日を灰色にする:
=WEEKDAY(H$2,2)>5のルールを足し、灰色を設定します。祝日も灰色にしたいときは、別のシートに祝日の一覧を作り、=COUNTIF(祝日!$A:$A,H$2)>0のルールを足します - 状態で色を変える:
=AND(H$2>=$D3,H$2<=$E3,$G3="完了")のルールを、手順4より上の順位に置いて別の色を付けると、完了した作業が一目で分かります
条件付き書式の[数式を使用して、書式設定するセルを決定]の開き方は、Microsoft のサポート記事「条件付き書式を使用して Excel 内の情報を強調表示する」に説明があります。
前の作業が終わってから始まる作業をつなぐ
後の作業の開始日を手で書くと、前の作業がずれたときに書き直し漏れが起きます。前の作業の終了日の翌稼働日を開始日にしたい場合は、開始日のセルに =WORKDAY(E3,1,祝日!$A:$A) のように入れます。Microsoft のサポート記事によると、WORKDAY 関数は開始日から指定した稼働日数だけ後の日付を返し、土日と、指定した祝日の一覧を除いて数えます。
グラフで作る場合の手順
Microsoft のサポート記事「Excel でデータをガント チャートで表示する」は、積み上げ横棒グラフを使う次の手順を紹介しています。グラフにするデータ(作業名・開始日・日数の列)を選んで[挿入]→[おすすめグラフ]から[積み上げ横棒]を選び、グラフの最初のデータ系列(開始日)を選んで[書式]タブの[図形の塗りつぶし]で[塗りつぶしなし]にし、縦軸の[軸の書式設定]の[軸の位置]で[分類項目を逆順に]を選びます。これで開始日の部分が見えなくなり、日数の部分だけが横棒として残ります。報告用の1枚の図として作るときに向いています。
余裕の日数の置き方
工程表を作るとき、作業ごとに少しずつ余裕を足しておくと、どの作業にどれだけの余裕が含まれているのかが表から読み取れず、余裕が使われても誰も気づきません。作業の日数はできるだけ実際にかかる見込みで書き、余裕は工程の区切り(マイルストーン)の手前に「予備」の行としてまとめて置く方が、管理しやすくなります。予備の行を使ったら、使った日数と理由をメモの列に残すと、どの工程で見込みが甘かったかを次の計画に生かせます。
自社の工程表を点検するチェックリスト
- 開始日と終了日を変えるだけで、横棒が自動で動く
- 作業ごとに担当者が1人書かれている
- 1本の横棒が、長くても2〜3週間に収まる大きさに分かれている
- 余裕の日数が、どこにどれだけあるかが見える
- 当初の予定と、いまの見込みを見比べられる
- 更新する担当者と曜日が決まっている
ガントチャートが更新されなくなる理由と直し方
作った人しか直せない
凝った数式や結合したセルが多いと、作った人以外は触るのをためらい、更新が1人に集中します。セルの結合は使わず、数式は上の手順程度にとどめ、各行の開始日・終了日・状態は担当者が自分で直す決まりにします。複数人で同時に直す場合は、OneDrive や SharePoint Online などの共同編集ができる場所に置きます。
予定を上書きして遅れが消える
終了日を書き換えて棒を伸ばしていくと、当初の予定から何日ずれたのかが表から消えます。当初の予定の開始日・終了日の列は残したまま、見込みの列を別に持ち、上の段に予定、下の段に見込みを塗る2段の形にすると、ずれが見えるようになります。当初の予定そのものを変えるときは、誰が承認したかを記録する変更の手続きに乗せます。
線を引いた後の運用が決まっていない
工程表は、作った時点がいちばん正確で、その後は更新しなければ実態から離れていきます。週に一度、担当者が自分の行を更新し、取りまとめ役は今日の線より左にあるのに完了していない作業だけを確認する、という運用を決めます。作業ごとの予定と実績を細かく追う場合は、進捗管理表と組み合わせます。
実行時の落とし穴
- 作業を大きく書きすぎる:「開発」「準備」のような大きな棒は、終わる直前まで遅れが見えません。1〜2週間で終わる作業に分けます
- やめどきを決めていない:工程表に遅れが積み重なっても、どこまで遅れたら計画を見直すのかが決まっていないと、延長が続きます。計画を見直す条件や中止の基準はプロジェクト計画書に撤退基準を書く方法で扱っています
- エクセルにこだわりすぎる:作業が数百件になる、複数の案件で同じ人を取り合う、といった規模になると、表の数式だけで前後関係や人の割り当てを管理するのは難しくなります。そうなったら、前後関係や担当者の負荷を扱える道具への移行を検討します
案件の始め方全体はプロジェクト立ち上げの手順で整理しています。意思決定に関するほかの記事は意思決定・リーダーシップからご覧いただけます。
出典
- Microsoft サポート「Excel でデータをガント チャートで表示する」:https://support.microsoft.com/ja-jp/excel/present-your-data-in-a-gantt-chart-in-excel
- Microsoft サポート「条件付き書式を使用して Excel 内の情報を強調表示する」:https://support.microsoft.com/ja-jp/excel/use-conditional-formatting-to-highlight-information-in-excel
- Microsoft サポート「WORKDAY 関数」:https://support.microsoft.com/ja-jp/excel/functions/workday-function
- Microsoft サポート「Excel ブックの共同編集を使用して同時に共同作業を行う」:https://support.microsoft.com/ja-jp/excel/get-started/collaborate-on-excel-workbooks-at-the-same-time-with-co-authoring




