女性管理職比率は、管理職の人数に占める女性の人数の割合で、「女性の管理職の人数 ÷ 管理職の総数 × 100」で計算します。全国の平均は、厚生労働省「雇用均等基本調査」(令和7年度)で課長相当職以上13.8%、係長相当職以上16.2%でした。改正女性活躍推進法により、2026年4月1日から従業員数101人以上の企業は、女性管理職比率と男女間賃金差異の公表が義務になっています。公表の「管理職」は課長級とそれより上位の役職(役員を除く)で、課長代理や課長補佐は一般に含みません。この記事では、計算の範囲と比べる数字を先に示し、後半で比率を上げる前に確かめる点を扱います。

女性管理職比率が低くとどまる構造

女性管理職比率は、管理職に登用する時点だけでなく、その手前の段階の積み重ねで決まります。

  1. 候補者の母数が少ない:係長・主任の段階で女性が少なければ、課長に上がる候補も少なくなります
  2. 昇進の途中で離れる:出産・育児・介護などの時期に、役職につく経路から外れる働き方しか用意されていない場合があります
  3. 昇進の基準が曖昧:誰を昇進させるかが上司の印象で決まると、長時間働けるかどうかなど、仕事の成果以外の要素が影響しやすくなります

「雇用均等基本調査」(令和7年度)では、1年間に新たに課長相当職以上についた人に占める女性の割合は16.4%でした。今の管理職に占める割合より高いものの、候補者の段階から見直さなければ、比率は少しずつしか変わりません。

女性管理職比率の計算方法と比べる数字

公表で使う「管理職」の範囲

項目内容
管理職「課長級」と「課長級より上位の役職(役員を除く)」の合計
課長級事業所で通常「課長」と呼ばれる者で、組織が二係以上からなるか、構成員が10人以上(課長を含む)の組織の長。または、呼び方や構成員に関係なく、職務の内容と責任の程度が課長級に相当する者(一番下の職階ではないこと)
含まないもの役員。一般に「課長代理」「課長補佐」も課長級に当たらない

社内の役職名だけで判断せず、組織の大きさと職務の中身で課長級に当たるかを確かめます。

公表の義務の範囲

従業員数公表する項目(2026年4月1日から)
301人以上男女間賃金差異と女性管理職比率に加え、2項目以上
101〜300人男女間賃金差異と女性管理職比率に加え、1項目以上
100人以下努力義務

初回の公表は、改正法の施行後に最初に終わる事業年度の実績を、次の事業年度が始まってからおおむね3か月以内に公表します。その後も、おおむね年1回以上、最新の数値を公表します。公表の場として、厚生労働省は「女性の活躍推進企業データベース」を最も適切としており、自社のホームページへの掲載でも差し支えないとしています。

比べるときの全国の数字

区分女性の割合
課長相当職以上(役員を含む)13.8%
係長相当職以上(役員を含む)16.2%
役員21.0%
部長相当職9.2%
課長相当職13.2%
係長相当職20.9%
課長相当職・企業規模10〜29人18.9%

出典はいずれも「雇用均等基本調査」(令和7年度、企業規模10人以上)です。規模別では、どの役職でも10〜29人規模が最も高くなっています。産業別の課長相当職以上では「医療、福祉」が53.6%と突出して高く、「教育、学習支援業」21.3%が続きます。課長相当職以上の女性管理職がいる企業の割合は54.1%でした。統計の課長相当職以上の割合は役員を含むため、役員を除いて計算する公表の数字とは範囲が違います。自社の数字は、同じ産業・規模と比べます。

計算の前に確かめるチェックリスト

  • □ 課長級に当たる役職を、役職名ではなく組織の大きさと職務で洗い出したか
  • □ 役員を除いたか
  • □ どの時点の人数で数えるか(事業年度の末日など)を決めたか
  • □ 係長級に占める女性の割合も出したか(次の候補者の母数を見るため)
  • □ 数字の背景を説明する文を用意したか

比率を改善する手順

手順1:段階ごとの女性の割合を並べる 一般社員・係長級・課長級・部長級の段階ごとに女性の割合を出し、どの段階で減っているかを確かめます。

手順2:減っている段階の理由を調べる 昇進の候補になっていない、候補になったが辞退している、その前に辞めている、のどれかを分けて調べます。女性活躍推進法第8条は、常時雇用する労働者が100人を超える事業主に行動計画の策定を義務付け、管理的地位にある女性の割合などの状況を把握し、改善すべき事情を分析したうえで計画を定めることを求めています。その順序を飛ばして数字だけを先に決めると何が起きるかは、女性登用が数合わせになる理由|目標設定の順序を直すで扱っています。

手順3:昇進の基準を文書にする 昇進の条件を仕事の成果と行動で書き、上司の印象や働ける時間の長さで決まらないようにします。基準のつくり方は、昇進の男女不平等を防ぐ客観的な評価基準とプロセスの設計が参考になります。

手順4:公表の数字に説明を添える 数字だけでなく、要因の分析や取り組みを説明欄に書きます。厚生労働省は、指標の大小だけに着目せず、要因と課題を分析して改善に取り組むことが重要だとし、説明欄を使った追加の情報の公表を勧めています。説明の文は、たとえば次の形で書けます。

当社の女性管理職比率は〇%です。管理職の多くを占める製造部門では、係長級の女性が〇人と少なく、課長級の候補者が限られていることが主な要因です。係長級への昇進の基準を文書にして公開し、育児中の社員も対象に含めた候補者の研修を今年度から始めています。

〇の部分と取り組みの中身は、自社の実際の数字と取り組みに置き換えてください。

実行時の落とし穴

  • 課長級の範囲を広げて数字をよく見せる:課長代理を含めるなど、公表の定義と違う数え方をすると、公表の意味が失われます
  • 比率の数字だけを目標にする:基準を変えずに女性の昇進だけを急ぐと、本人も周囲も昇進の理由に納得できません。実力で評価する仕組みと多様性の両立は、実力主義と多様性の矛盾はなぜ起きるのか|評価の設計で扱っています
  • 少人数の変動に一喜一憂する:管理職が10人の会社では、1人の昇進や退職で10ポイント動きます。数年の推移で見ます
  • 係長級を見ていない:課長級の比率だけを追うと、数年後の候補者がいないことに気づくのが遅れます

公表の義務の範囲や方法は、会社の状況によって確かめるべき点が変わります。個別のケースは、都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)に確認してください。ダイバーシティと公平な登用を扱うほかの記事は、人事・評価にまとめています。

出典