1on1 の質問は、①仕事の進み具合、②困りごと、③成長とキャリア、④体調と働き方、⑤職場や上司への意見、の 5 つのテーマに分けて用意しておくと、話すことがないという状態を防げます。大切なのは、質問の数より、部下が話したいことを話せる順番です。毎回、最初に「今日話したいことはありますか」と部下の話題を聞き、無ければ用意した質問から 1〜2 つを選んで聞く、という進め方が基本になります。質問は、「はい・いいえ」で終わるものより、「何が」「どのように」で始まる、具体的な場面を聞くものが、話を続けやすくなります。
質問を選ぶ順番
1on1 の時間は、次の順で進めると、部下の話したいことを先に扱えます。
- 部下の話したいことを聞く:「今日話したいことはありますか」
- 前回の続きを確かめる:前回話したことや、約束したことがその後どうなったか
- 用意した質問から聞く:部下の話したいことが無い、または早く終わったときに、下のテーマから 1〜2 つ
- 次にやることを確かめる:話した内容から、次の 1on1 までに部下と上司がそれぞれ何をするか
質問をたくさん用意しても、一度にすべてを聞く必要はありません。1 回の 1on1 で深く話せるのは、1〜2 つのテーマです。
テーマ別の質問例
仕事の進み具合
- 今週、いちばん時間がかかった仕事は何でしたか
- 予定どおりに進んでいる仕事と、遅れている仕事はどれですか
- 今の仕事の中で、うまくいっていることは何ですか
- 目標に向けて、今どのあたりにいると感じていますか
- 次の 1 か月で、いちばん力を入れたい仕事は何ですか
進み具合の質問は、評価の確認のように聞こえないよう、「どうなっていますか」と詰めるのではなく、部下が状況を整理できるように聞きます。目標の進み具合と 1on1 を結び付ける方法は、1on1 で話すことがなくなる理由と目標管理との統合で扱っています。
困りごと
- 今いちばん困っていることは何ですか
- 仕事を進めるうえで、止まっているところはありますか
- 誰かに相談したいけれど、できていないことはありますか
- 私(上司)が手を貸せることはありますか
- 仕事のやり方で、もっとこうなればよいと思うことはありますか
困りごとの質問は、毎回聞く質問として決めておくのに向いています。「今いちばん困っていること」を毎回聞くと、部下は話すことを準備してくるようになります。
成長とキャリア
- 最近の仕事で、新しくできるようになったことは何ですか
- これから身に付けたい技能や知識はありますか
- 今の仕事の中で、もっと任されたいことはありますか
- 1 年後、どんな仕事をしていたいですか
- 手本にしたい人や、やってみたい役割はありますか
キャリアの質問は、答えにくい部下もいます。すぐに答えが出なくても構わないことを伝え、次の 1on1 までに考えておいてもらう形にすると、話が進みやすくなります。
体調と働き方
- 最近、仕事の量はどう感じていますか
- 残業や休みの取り方で、気になっていることはありますか
- 仕事の時間や場所で、変えたいことはありますか
- 最近、よく休めていますか
体調や家庭の事情は、部下が話したくないこともあります。無理に聞き出さず、話したいときに話せる場があることを伝えるだけでも十分です。心身の不調が疑われるときは、上司だけで抱えず、社内の相談の窓口や産業医など、専門の人につなぎます。
職場や上司への意見
- チームの中で、もっとこうなればよいと思うことはありますか
- 会議や報告のやり方で、変えたほうがよいことはありますか
- 私の指示や伝え方で、分かりにくいところはありますか
- 私にもっとしてほしいこと、やめてほしいことはありますか
上司への意見は、部下にとって最も話しにくいテーマです。最初は答えが返ってこないこともありますが、聞き続け、出てきた意見に実際に応えることで、少しずつ話してもらえるようになります。
話すことがないときの始め方
部下が「特に話すことはありません」と答えるときは、質問の仕方を変えます。
| 答えにくい質問 | 答えやすい質問 |
|---|---|
| 何かありますか | 今週いちばん時間がかかった仕事は何でしたか |
| 困っていることはありますか | 今の仕事で、止まっているところはどこですか |
| 調子はどうですか | 先週の〇〇の件は、その後どうなりましたか |
| 将来どうなりたいですか | 最近の仕事で、面白いと感じたのはどれですか |
広い質問より、具体的な場面や仕事を指した質問のほうが、答えが出やすくなります。上司が前回の 1on1 の内容や、部下の最近の仕事を把握しておくと、具体的な質問ができます。1on1 の前の準備の進め方は、1on1 の事前準備を仕組みにする方法で説明しています。
話を深める聞き方
質問をした後の聞き方で、話が深まるかどうかが決まります。
- 答えをさえぎらない:部下が話し終わるまで待つ。沈黙があっても、すぐに次の質問をしない
- 「それで」「たとえば」で続きを聞く:「たとえば、どんな場面でそう感じましたか」と、具体的な例を聞く
- すぐに答えや助言を言わない:部下が自分で考えを整理できるよう、まず聞くことに徹する
- 話した内容を短く言い直す:「〇〇で困っている、ということですね」と確かめると、部下は聞いてもらえていると感じる
- 話したことに応える:出てきた困りごとや意見に、次の 1on1 までに何をするかを決め、実際に行う
避けたほうがよい質問
- 評価を問い詰める質問:「なぜ目標に届いていないのですか」のような質問は、1on1 を評価の場にしてしまう。評価の面談とは分けて扱う
- 答えが決まっている質問:「〇〇したほうがいいと思いませんか」は、上司の意見を押し付ける形になる
- 私生活に踏み込みすぎる質問:家庭や健康の事情は、部下が自分から話す場合に限って聞く
1on1 と評価の面談を分ける考え方は、1on1 を査定の場にしない方法で扱っています。
実行時の落とし穴
質問を順番にすべて聞く
用意した質問を上から順に聞いていくと、1on1 が聞き取りの場になり、部下は答えるだけになります。部下の話したいことを先にし、質問は 1〜2 つに絞ります。
上司が話しすぎる
質問をした後に、上司が自分の経験や助言を長く話すと、部下が話す時間が無くなります。話す時間の多くを部下に使ってもらうことを意識します。
話したことに応えない
困りごとや意見を話しても、何も変わらなければ、部下は話さなくなります。出てきたことに、次の 1on1 までに何をするかを決め、結果を伝えます。




