会社の代表電話の対応マニュアルは、①受けたときの基本の流れ、②場面ごとの言い回し、③取り次ぎと伝言の残し方、④判断に迷う電話の扱い、の 4 つで組み立てます。電話の対応が人によってばらばらだと、取り次ぎの間違い、伝言の漏れ、相手を長く待たせる、といった問題が起き、会社の印象にも関わります。マニュアルを作るときは、言い回しの見本だけでなく、伝言をどこにどう残すか、迷う電話を誰に回すかまで決めておくことが大切です。そうすることで、新しく入った人でも、同じ水準で電話を受けられるようになります。

受けたときの基本の流れ

順番やること言い回しの例
1名乗る「はい、○○株式会社でございます」
2相手を確かめる「恐れ入りますが、お名前をお伺いしてもよろしいでしょうか」
3用件と、誰あてかを聞く「どの者におつなぎいたしましょうか」
4取り次ぐ、または伝言を受ける「ただいまおつなぎいたします。少々お待ちください」
5伝言の内容を復唱する「念のため復唱いたします」
6自分の名前を伝えて切る「私、○○が承りました。失礼いたします」

相手の名前と会社名は、聞き取れなかったら必ず聞き直します。聞き直すことは失礼ではありません。名前を間違えて取り次ぐほうが、相手にも社内にも迷惑がかかります。電話は、相手が切ったのを確かめてから静かに切ります。

場面ごとの言い回し

名指しされた人が席にいるとき

「○○ですね。ただいまおつなぎいたします。少々お待ちください」と伝え、保留にしてから本人に「○○社の○○様からお電話です」と、相手の会社名と名前を伝えて取り次ぎます。

名指しされた人が不在のとき

「申し訳ございません。○○はただいま席を外しております(外出しております/本日は休みをいただいております)。戻りましたら、こちらからお電話を差し上げましょうか」と伝えます。不在の理由は詳しく言わず、戻りの予定が分かれば伝えます。

保留が長くなりそうなとき

保留が 30 秒を超えそうなときは、一度電話に戻り、「お待たせして申し訳ございません。もう少しお時間がかかりそうですので、こちらから折り返しお電話を差し上げてもよろしいでしょうか」と伝えます。

自分では分からない問い合わせ

「確認して、担当の者からご連絡いたします」と伝え、相手の名前、連絡先、用件を聞きます。分からないことをその場で推測して答えないようにします。

取り次ぎと伝言の残し方

伝言は、相手の話を聞きながらその場で書き、復唱して確かめます。伝言に書く項目をそろえておくと、漏れが減ります。

項目書く中身
受けた日時何日の何時何分か
相手会社名、部署、名前(読み方も)
あて先誰あての電話か
用件何についての電話か。要点を短く
折り返し折り返しが必要か、連絡先の電話番号、都合のよい時間
受けた人自分の名前

伝言は、紙のメモを机に置くだけにせず、社内のチャットなど、本人が外出先からでも見られる場所にも残します。紙のメモは、ほかの書類に紛れたり、本人が戻るまで気づかれなかったりします。伝言を送る場所をチームで 1 つに決めておくと、あとから「聞いていない」ということを防げます。社内の連絡の手段の使い分けは、テレワークのコミュニケーション不足の対策でも扱っています。

判断に迷う電話の扱い

営業の電話

担当者につなぐ前に、会社名、用件、あて先を聞きます。取引の無い会社からの営業の電話をどう扱うか(断る、担当の部署に回す、資料の送り先を伝える)を、会社として決めておきます。

苦情の電話

相手の話を途中でさえぎらずに最後まで聞き、不快な思いをさせたことに対してお詫びを伝えます。事実が分からないうちに、責任を認める言い方や、約束をする言い方は避けます。聞いた内容を記録し、決めておいた担当者に回します。

身元の分からない問い合わせ

社員の個人の連絡先、在籍の有無、取引先の情報などを聞かれた場合は、その場で答えず、「確認してご連絡いたします」と伝えて、上司や担当の部署に相談します。何を答えてよく、何を答えてはいけないかを、マニュアルにはっきり書いておきます。

電話を受ける人の負担を減らす

代表電話の対応が特定の人に集中すると、その人の本来の仕事が進まなくなります。電話を受ける順番を曜日や時間帯で分ける、受けた件数を記録して偏りを確かめる、といった工夫で、負担を分けます。

電話の件数そのものを減らすことも考えます。受けた電話の用件を記録しておくと、同じ問い合わせが何度も来ていることが分かります。例えば、営業時間や所在地、請求書の送り先など、決まった答えで済む問い合わせが多ければ、会社のウェブサイトにまとめて載せる、請求書に問い合わせ先を書き添える、といった手で件数を減らせます。社員からの社内の問い合わせが代表電話や総務に集まっている場合は、よくある質問と答えを社内の共有の場所にまとめ、自分で調べられるようにします。

また、電話を受けたらすぐに担当者につなぐのではなく、担当の部署の直通の番号を取引先に伝えておくと、取り次ぎの手間が減ります。取り次ぎが減れば、代表電話を受ける人は、判断に迷う電話や初めての相手からの電話に時間を使えるようになります。

マニュアルを定着させる進め方

マニュアルは、作って配るだけでは使われません。まず、よくある電話の相手と用件を書き出し、そのうち多いものから言い回しの見本を用意します。新しく入った人には、マニュアルを見ながら先輩と電話の練習をしてもらい、慣れるまでは電話の近くにマニュアルを置いておきます。

電話の対応で困ったことや、マニュアルに無い電話があったときは、その内容を記録し、定期的にマニュアルに書き足します。マニュアル全体の作り方と、使われ続けるための更新の仕組みは、業務マニュアルの作り方で説明しています。

実行時の落とし穴

言い回しだけを並べる

言い回しの見本だけでは、伝言をどこに残すか、迷う電話を誰に回すかが分からず、受けた人が困ります。流れと記録と回し先まで決めます。

電話を受ける人を決めていない

誰が電話を取るかが決まっていないと、全員が「誰かが取るだろう」と考え、電話が鳴り続けます。受ける順番と、取れなかったときの代わりを決めておきます。

伝言を渡して終わる

伝言を本人に渡した後、折り返しが済んだかを誰も確かめないと、折り返しが漏れます。折り返しが必要な伝言は、済んだら本人が印を付ける決まりにします。