新入社員の受け入れ準備は、①入社の 1 か月前、②1 週間前、③初日、④最初の 1 週間、⑤最初の 1 か月、の時期ごとにやることをチェックリストにし、項目ごとに担当者を決めておくと、抜けを防げます。受け入れで起きる問題の多くは、「初日にパソコンが届いていない」「誰が教えるのか決まっていない」「最初の週にやることが無い」といった準備の抜けです。準備は、手続き、物の用意、職場の準備、教える計画の 4 つに分けて考えると整理しやすくなります。チェックリストを会社の決まった形として持っておけば、受け入れのたびに一から考えずに済み、担当者が替わっても同じ水準で受け入れられます。
受け入れ準備の 4 つの分類
| 分類 | 中身 | 主な担当 |
|---|---|---|
| 手続き | 労働条件の明示、雇用の契約、社会保険・雇用保険などの届出、給与の振込先の確認 | 総務・人事 |
| 物の用意 | 席、パソコン、電話、名刺、社員証、制服など | 総務・情報システム |
| 職場の準備 | 仕組みのアカウント、メールやチャットの登録、共有フォルダの権限、職場への紹介 | 情報システム・配属先 |
| 教える計画 | 最初の 1 か月の予定、教える担当、最初に任せる仕事 | 配属先の上司 |
時期ごとのチェックリスト
入社の 1 か月前まで
- 労働条件を書面などで明示し、雇用の契約を結ぶ
- 入社の日、初日の集合の時間と場所を本人に伝える
- 入社の日に持ってくるもの(届出に必要な書類など)を本人に伝える
- 配属先と上司を決め、配属先に入社を知らせる
- 教える担当者を決める
- パソコンや電話など、手配に時間がかかる物を頼む
労働条件の明示は、労働基準法第 15 条で使用者に義務付けられています。賃金や労働時間などの決められた事項は書面などで示す必要があるため、入社の前に済ませておきます。明示すべき事項の詳細は、厚生労働省の案内で確かめ、判断に迷う点は社会保険労務士や労働基準監督署に相談します。
入社の 1 週間前まで
- 席と、机・椅子などの用意
- パソコンの設定、使う仕組みのアカウントの作成
- メール・チャットの登録、共有フォルダの見られる範囲の設定
- 名刺・社員証の用意
- 初日と最初の 1 週間の予定表を作る
- 配属先の人に、入社する人の名前・経歴・担当する仕事を伝える
- 社会保険・雇用保険の届出の準備(届出の期限は、日本年金機構やハローワークの案内で確かめる)
入社の初日
- 集合の場所で迎え、席まで案内する
- 上司から、会社と部署の紹介、担当してもらう仕事の説明
- 職場の人への紹介
- パソコンと仕組みへのログインを一緒に確かめる
- 社内の決まり(勤怠の付け方、休みの取り方、経費の精算のしかたなど)の説明
- 昼食を一緒にとる相手を決めておく
- 一日の終わりに、上司と短く話し、分からなかったことを聞く
最初の 1 週間
- 教える担当と一緒に、実際の仕事を見て、やってみる
- 仕事で関わる人(ほかの部署を含む)への紹介
- 社内の手順書や情報の置き場所の案内
- 毎日の終わりに、教える担当と短く振り返る
- 週の終わりに、上司と 1 週間を振り返る
最初の 1 か月
- 最初に任せる仕事を決め、一人でやってみてもらう
- 週に 1 回、上司と面談し、困りごとを聞く
- 1 か月の終わりに、できるようになったことと、次の 1 か月でできるようになってほしいことを話す
- 受け入れの進め方で困ったことがあれば、チェックリストを直す
教える計画の作り方
チェックリストの中で最も抜けやすいのが、教える計画です。手続きや物の用意は総務や人事が進めますが、「最初の 1 か月で何を覚えてもらうか」は、配属先の上司が決めないと、誰も決めないまま入社の日を迎えることがあります。
教える計画は、次の 3 つを決めておくと、形になります。
- 1 か月後にできるようになってほしいこと:担当する仕事のうち、一人でできるようになってほしいものを 2〜3 つ
- 覚える順番:簡単な仕事から、関係者が少ない仕事から、という順に並べる
- 教える担当と時間:誰が、いつ、どのくらいの時間を教えることに使うか
教える担当者には、教える時間を業務として確保します。自分の仕事で手一杯の人に「空いた時間で教えて」と頼むと、新しく入った人は放っておかれることになります。仕事を教える進め方を会社の決まった形にする方法は、OJT が放置になる構造と、オンボーディング標準化の設計手順で説明しています。
チェックリストを会社の決まった形にする
チェックリストは、受け入れのたびに作るのではなく、会社の決まった形として 1 つ持っておきます。次の点を決めておくと、担当者が替わっても使えます。
- 置き場所:社内の手順書の置き場所に置き、誰でも見られるようにする
- 項目ごとの担当:部署や役割で担当を書いておく(人の名前ではなく、役割で書くと、異動のたびに直さずに済む)
- 期限:入社の何日前までに済ませるかを書く
- 振り返り:受け入れが終わったら、困ったことをもとにチェックリストを直す
新しく入った人が教える手順書を読んで仕事を覚えられるよう、手順書を整えておくことも、受け入れの準備の一部です。手順書の作り方は、業務マニュアルの作り方で扱っています。
受け入れが崩れる原因
担当者任せになる
受け入れの準備を一人の担当者に任せきりにすると、その人が忙しい時期や休んだときに準備が止まります。項目ごとに担当を分け、全体の進み具合を確かめる役を 1 人決めます。
初日に何もすることが無い
初日にパソコンが届いていない、アカウントが無い、教える人が忙しい、という状態では、新しく入った人は一日を何もせずに過ごすことになります。最初の印象は、その後の働き方に影響します。道具と予定は、入社の前にそろえておきます。
1 週間で受け入れを終わりにする
最初の 1 週間が過ぎると、上司も教える担当も自分の仕事に戻り、新しく入った人は放っておかれがちです。困りごとが出てくるのは、仕事を一人で始めてからです。少なくとも最初の 1 か月は、週に 1 回、上司と話す場を設けます。
出典
- 労働基準法(第 15 条 労働条件の明示):e-Gov 法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000049




