タスク管理のやり方の基本は、受けた依頼や自分で決めた作業を1か所に書き出し、1人が一度で終えられる大きさに分け、1行ごとに担当者1人と期限を決め、見直す日を固定することです。エクセルは、この5つを表の列として持たせるだけで始められ、ほとんどの会社にすでにあるのが利点です。一方で、依頼がチャットや口頭で届いて表に書かれない、担当が曖昧なまま行だけが増える、といった理由で数か月後に更新が止まる例も少なくありません。この記事では、タスク管理の手順と、エクセルで作るときの列の見本・記入例・設定の手順を示したうえで、チームで回らなくなる理由と直し方を説明します。

タスク管理のやり方の基本(5つの手順)

  1. 1か所に書き出す:口頭・メール・チャットで受けた依頼も、自分で思いついた作業も、同じ表に書きます。書く場所が2つあると、片方が必ず古くなります
  2. 1人が一度で終えられる大きさに分ける:「展示会の準備」のままでは担当も期限も決められません。「ブースの図面を業者に送る」「配布資料を100部発注する」のように、動詞で終わる作業に分けます
  3. 担当1人と期限を決める:担当欄に2人の名前があると、互いに相手が進めていると考えます。期限は「今週中」ではなく日付で書きます
  4. 優先度を決める:期限の近さだけでなく、遅れたときにほかの人の作業が止まるかどうかで決めます
  5. 見直す日を決める:毎朝5分、週1回30分のように、表を見直す時間を予定に入れます。見直しがないと、終わった作業の状態が変わらず、表が信用されなくなります

タスク管理表の列の見本

チームで使う表は、次の11列から始めるのがおすすめです。

列書くこと入力のしかた
No行の番号連番。消さずに残す
タスク何をするか動詞で終える(〇〇を送る、〇〇を決める)
依頼元誰から頼まれたか自分で決めた作業は「自分」
担当責任を持つ1人1行に1人だけ
期限いつまでに終えるか日付で書く
優先度高・中・低下の基準で選ぶ
状態今の段階未着手・作業中・待ち・完了から選ぶ
待ちの相手誰の返事・作業を待っているか状態が「待ち」のときだけ書く
完了日実際に終えた日完了にした日に入れる
関連資料資料やメールの置き場所ファイルの場所やリンク
メモ経緯・次の一手1〜2行まで

優先度は、人によって付け方がずれないよう、基準を表の上や別のシートに書いておきます。

優先度基準の例
高期限が3営業日以内、または遅れるとほかの人の作業が止まる
中期限が2週間以内で、遅れても影響が自分の作業にとどまる
低期限が決まっていない、または2週間より先

記入例は次のとおりです。

Noタスク依頼元担当期限優先度状態待ちの相手完了日
12展示会の出展申込書を送る営業部長佐藤10/3高完了10/2
13ブースの図面を業者に送る営業部長田中10/10中待ち設計担当(寸法の確認)
14配布資料の文面を決める自分鈴木10/17中作業中

「待ち」の状態と「待ちの相手」の列を持たせるのがこの表の要点です。他人の返事を待っている作業は、表の上では「作業中」に見えて止まっていることが多く、ここが見えるだけで催促や代わりの手配ができるようになります。

エクセルで作る手順

  1. 見出しを入れてテーブルにする:1行目に列名を入れ、範囲をテーブルにします。Microsoft のサポート記事「Excel のテーブルの概要」によると、テーブルではすべての列で絞り込みと並べ替えができ、列の1つのセルに計算式を入れるとその列のほかのセルにも同じ式が入ります。「担当が自分」「状態が完了以外」で絞り込めば、そのまま自分のやることの一覧になります
  2. 担当・優先度・状態をドロップダウンにする:Microsoft のサポート記事「ドロップダウン リストを作成する」の手順で、別のシートに選択肢を並べ、[データ]タブの[データの入力規則]から[入力値の種類]を[リスト]にして範囲を指定します。選択肢の元をテーブルにしておくと、メンバーが増えたときに担当の選択肢も自動で増えます
  3. 期限切れと期限間近に色を付ける:[ホーム]タブの[条件付き書式]→[ルールの管理]→[新規ルール]で[数式を使用して、書式設定するセルを決定]を選びます。期限がE列、状態がG列なら、期限切れは =AND($G2<>"完了",$E2<TODAY())、期限の3日前からは =AND($G2<>"完了",$E2>=TODAY(),$E2-TODAY()<=3) と入れ、それぞれ別の色を付けます
  4. 完了した行を隠す:状態の列で「完了」を外して絞り込みます。行は消さずに残し、月末に別のシートへ移すと、表が重くなりません
  5. チームで同じファイルを開く:Microsoft のサポート記事によると、複数の人が同時に編集する共同編集には、ブックを OneDrive、OneDrive for Business、SharePoint Online のライブラリのいずれかに保存する必要があります。メールに添付して回す形は、最新の版が分からなくなるので避けます

予定と実績の差を詳しく追いたい案件では、この表とは別に進捗管理表を作り、予定日と実績日を並べて管理します。

自社のタスク管理を点検するチェックリスト

  • 依頼を受けたら、まず表に書くという決まりがある
  • 担当の欄に2人以上の名前が書かれた行がない
  • 期限が「今週中」「なるはや」ではなく日付で書かれている
  • 他人の返事を待っている作業が、表の上で見分けられる
  • 表を見直す日時が、チームの予定に入っている
  • 完了した作業の記録が、あとから確かめられる形で残っている

エクセルのタスク管理が回らなくなる理由と直し方

依頼の入口が複数ある

依頼が会議の口頭、チャット、メール、廊下での立ち話と、いろいろな経路で届くと、表に書かれない作業が増えます。表に書かれない作業は、担当者の頭の中にしかないため、休みや異動のたびに抜け落ちます。「頼む側が表に1行書いてから声をかける」「口頭で受けた場合は、受けた人がその日のうちに書く」のように、入口を表に寄せる決まりを置きます。

指示が曖昧なまま行だけが増える

「〇〇の件、よろしく」とだけ書かれた行は、何ができたら完了なのかが分からず、状態が作業中のまま動きません。タスク欄には成果物が分かる書き方を求め、分からないときはその場で依頼元に確かめます。依頼の出し方そのものを整える考え方は、曖昧な業務指示が組織の速さを落とす理由で扱っています。

見直しの時間がない

表は、見直されなければ数週間で実態とずれます。ずれた表は信用されず、結局は「あの件どうなった」と口頭で聞き回ることに戻ります。毎朝の短い確認で「今日やる行」と「待ちの行」だけを見て、週に一度、期限切れの行と優先度を見直す時間を取ると、表と実態のずれが大きくなりません。

特定の人だけが表を持っている

表の作り方や決まりを知っているのが1人だけだと、その人の異動や退職で表ごと使われなくなります。列の意味・優先度の基準・見直しの手順を表の1枚目に書いておくと、引き継ぎがしやすくなります。仕事が特定の人に偏る問題の全体像は業務の属人化とはで整理しています。

実行時の落とし穴

  • 細かい作業まで全部書かせる:チームの表に個人の段取りまで書かせると、入力が負担になって誰も書かなくなります。チームの表には、ほかの人に関係する作業だけを書きます
  • 優先度が全部「高」になる:基準がないと、どの依頼も急ぎに見えます。上の表のような基準を決め、「高」が多すぎるときは依頼元と期限を調整します
  • 表を評価に直結させる:完了した件数で人を比べると、簡単な作業を細かく分けて件数を増やす動きが出ます。表は仕事の流れを見るために使い、評価は別の物差しで行います
  • ファイルを増やす:部署ごと・案件ごとにファイルを分けすぎると、同じ人のタスクが複数の表に散ります。まずはチームで1つにまとめ、シートや絞り込みで分けます

部下への仕事の渡し方は指示待ちを解消するジョブアサインの技術も参考になります。組織の情報共有に関するほかの記事は組織・コミュニケーションからご覧いただけます。

出典