OKR(Objectives and Key Results)は、目指す姿(Objectives:目標)と、その達成を測る主な結果(Key Results)を組み合わせて目標を立て、四半期などの短い周期で進み具合を確かめる目標管理の方法です。米国のインテルで生まれ、ジョン・ドーアがグーグルに紹介したことで広く知られるようになりました。ドーアの著書『Measure What Matters』(邦題『メジャー・ホワット・マターズ』)で詳しく紹介されています。OKR の特徴は、確実に達成できる目標ではなく、背伸びしなければ届かない高い目標を立てること、会社からチームまでの目標を全員が見られるようにすること、人事評価とは切り離して運用することが多い点にあります。
目標(O)と主な結果(KR)
| 要素 | 中身 | 書き方のポイント |
|---|---|---|
| 目標(Objectives) | 何を目指すか。達成したい姿 | 数字ではなく、意欲がわく言葉で書く。1 つの期間に 1〜3 個 |
| 主な結果(Key Results) | 目標に近づいたことを何で測るか | 数字で測れる形で書く。1 つの目標に 2〜5 個 |
目標は、チームが「そこに行きたい」と思える、方向を示す言葉で書きます。主な結果は、目標に近づいたかどうかを、誰が見ても判断できる数字で書きます。主な結果は「何をするか(行動)」ではなく、「その結果、何が変わったか」で書くのがポイントです。
例:営業のチーム
- 目標:地域でいちばん頼られる相談相手になる
- 主な結果 1:既存の顧客からの紹介による新しい商談を、四半期で 15 件にする
- 主な結果 2:既存の顧客の継続の割合を 95% にする
- 主な結果 3:顧客への問い合わせの返事の時間を、平均 1 営業日以内にする
例:管理部門のチーム
- 目標:社員が迷わず手続きを終えられる会社にする
- 主な結果 1:経費の精算の差し戻しの件数を、前の四半期の半分にする
- 主な結果 2:人事の手続きに関する問い合わせの件数を 3 割減らす
- 主な結果 3:主な手続きの手順書を 10 本整え、社内の共有の場所に置く
主な結果に「手順書を作る」のような行動が入ることもありますが、できるだけ、行動の結果として何が変わったかで測れる形にします。数字の目標を分けていく考え方は、KGIとKPIの違いが参考になります。
運用の流れ
期間の初め:OKR を決める
会社の OKR を経営陣が決め、それを受けて、チームが自分たちの OKR を決めます。チームの OKR は、会社の OKR に向けて、自分たちが何を変えるかを考えて決めます。上から割り振るだけでなく、チームから案を出し、上と話し合って決めるのが OKR の考え方です。決めた OKR は、全員が見られる場所に置きます。
期間の途中:毎週確かめる
チームで毎週短い時間を取り、主な結果の進み具合と、次の週にやることを確かめます。進んでいない主な結果があれば、原因と手を話し合います。状況が大きく変わった場合は、期間の途中でも OKR を見直します。
期間の終わり:振り返る
期間の終わりに、主な結果ごとに達成の度合いを付け、何がうまくいき、何がうまくいかなかったかを振り返ります。グーグルが公開している OKR の手引きでは、主な結果ごとに 0.0〜1.0 の点を付け、0.6〜0.7 程度を目安とする考え方が紹介されています。振り返りの結果を踏まえて、次の期間の OKR を決めます。
よい OKR を立てるための問い
OKR を決める話し合いでは、次のような問いで案を確かめます。
1 つめは、「この目標を達成したら、会社や顧客にとって何がよくなるか」です。答えがはっきりしない目標は、チームの内側だけで完結していて、会社の OKR とのつながりが弱い可能性があります。
2 つめは、「主な結果をすべて達成したら、目標を達成したと言えるか」です。主な結果が目標の一部しか測っていない場合は、足りない面を測る主な結果を足します。反対に、目標と関係の薄い主な結果が入っていれば外します。
3 つめは、「主な結果の数字は、誰がどこから、いつ測るか」です。測り方が決まっていない数字は、毎週の確認で進み具合が分からず、期間の終わりに慌てて集めることになります。
4 つめは、「今のやり方の延長で届くか」です。今のやり方を続けるだけで確実に届く水準なら、目標が低すぎるかもしれません。やり方を変えなければ届かない水準かどうかを話し合います。
チームのリーダーの役目
OKR の運用で、チームのリーダーが担うのは、OKR を決める話し合いを進め、毎週の確認の場を続け、進んでいない主な結果についてメンバーと一緒に手を考えることです。進み具合が悪いことを責めるのではなく、何が妨げになっているかを聞き、ほかのチームへの協力の依頼や、優先順位の入れ替えなど、リーダーにしかできない手を打ちます。
MBO との違い
| 観点 | MBO(目標管理制度) | OKR |
|---|---|---|
| 目標の高さ | 達成できる水準で立てることが多い | 背伸びしなければ届かない水準で立てることが多い |
| 周期 | 半年や 1 年 | 四半期など短い周期が多い |
| 公開の範囲 | 本人と上司の間 | 会社の中で全員が見られる |
| 人事評価との関係 | 評価の材料にすることが多い | 評価と切り離すことが多い |
MBO の仕組みと運用の流れは、目標管理制度(MBO)とはで説明しています。どちらを選ぶかの判断は、MBOとOKRの違いとはで扱っています。MBO と OKR を併用し、評価は MBO で、挑戦的な目標は OKR で扱う会社もあります。
導入でつまずく点
評価と結び付けてしまう
OKR の達成率を給与や賞与に結び付けると、社員は達成しやすい目標を立て、OKR が MBO と変わらないものになります。評価と切り離すか、結び付ける場合も、達成率ではなく取り組みの中身を見る形にします。
OKR の数が多すぎる
目標や主な結果を多く立てすぎると、どれに集中すればよいか分からなくなります。目標は 1 つの期間に 1〜3 個、主な結果は目標ごとに 2〜5 個にとどめます。
毎週の確認をしない
期間の初めに OKR を決めても、途中で確かめなければ、期間の終わりに初めて進み具合を知ることになります。毎週の短い確認を、チームの定例の中に組み込みます。
全社で一度に始める
最初から全社で部署・個人の OKR まで作ると、作ることに時間がかかり、運用が追い付きません。まず会社全体か 1 つのチームで始め、運用に慣れてから広げます。




