人事評価シートは、①評価の項目、②項目ごとの配点(重み)、③評価の段階、④本人と上司の記入欄、の 4 つで組み立てます。項目は、仕事の結果を見る「成果」、仕事の進め方を見る「行動」、仕事に必要な力を見る「能力」に分けると整理しやすくなります。見本の形をそのまま使うより、自社の等級や職種に合わせて、項目の中身と配点を決めることが大切です。シートが使われなくなる原因の多くは、項目があいまいで、上司が何を根拠に評価すればよいか分からないことにあります。
評価シートの 4 つの要素
| 要素 | 決めること |
|---|---|
| 評価の項目 | 何を評価するか。成果・行動・能力などに分けて、項目ごとに中身を書く |
| 配点(重み) | 項目ごとの重さ。合計を 100 にすると計算しやすい |
| 評価の段階 | 何段階で評価するか。段階ごとに、どういう状態ならその段階かを書く |
| 記入欄 | 本人の自己評価、一次評価者、二次評価者の評価と、それぞれの理由を書く欄 |
項目の分け方
成果
期間の中で、何を達成したかを見る項目です。期初に決めた目標の達成の度合いを使うことが多く、営業なら売上や新しい取引先の数、管理部門なら手続きの期限の順守や改善の取り組みなどが入ります。目標の立て方は、目標設定の書き方と例文で説明しています。
行動
成果に至るまでに、どんな行動をとったかを見る項目です。「報告・連絡・相談を期限までに行ったか」「ほかの人の仕事を手伝ったか」のように、目に見える行動で書きます。成果だけでは、運や担当の違いで差が出るため、行動の項目で仕事の進め方を見ます。行動で評価する項目の作り方は、コンピテンシー評価とはで扱っています。
能力
仕事に必要な知識や技能を、どこまで身に付けているかを見る項目です。等級ごとに求める水準を決め、その水準に届いているかを見ます。能力の項目は、行動の項目と重なりやすいため、どちらか一方にまとめる会社もあります。
項目の具体的な書き方は、職種別の見本を載せた人事評価の評価項目の例が参考になります。
配点の決め方
配点は、その等級や職種で何を重く見るかを表します。一般には、等級が上がるほど成果の配点を大きくし、若手ほど行動や能力の配点を大きくします。
| 等級の例 | 成果 | 行動 | 能力 |
|---|---|---|---|
| 若手(入社 1〜3 年目) | 30 | 40 | 30 |
| 中堅 | 50 | 30 | 20 |
| 管理職 | 60 | 40 | ― |
管理職の行動には、部下の育成やチームのまとめ方の項目を入れます。配点の数字は例で、自社の方針に合わせて決めます。
評価の段階の書き方
段階の数より大切なのは、段階ごとに「どういう状態ならその段階か」を言葉で書くことです。書かれていないと、評価者ごとに基準がずれ、甘い評価者と辛い評価者の差が大きくなります。
| 段階 | 状態の書き方の例 |
|---|---|
| S | 求める水準を大きく超え、周りの手本になっている |
| A | 求める水準を超えている |
| B | 求める水準どおりにできている |
| C | 求める水準に一部届いていない |
| D | 求める水準に大きく届いていない |
シートの見本の形
1 つの項目は、次のような形で並べます。
| 区分 | 項目 | 着眼点 | 配点 | 本人 | 一次 | 二次 | 理由(事実) |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 成果 | 目標 1:新しい取引先の獲得 | 期初の目標 10 社に対する達成 | 30 | ||||
| 行動 | 報告・連絡・相談 | 期限や問題の兆しを、決まった時期に上司に伝えたか | 15 | ||||
| 能力 | 商品の知識 | 顧客の質問に、ほかの人に頼らず答えられるか | 10 |
「理由(事実)」の欄は必ず設けます。評価の段階だけを付けて理由を書かないと、本人は評価の根拠が分からず、納得できません。本人の自己評価の書き方は自己評価の書き方と例文で、上司が書く理由の書き方は人事評価のコメントの書き方と例文で説明しています。
シートを使う流れ
評価シートは、期末に 1 回だけ開くものではありません。期初に、本人と上司がシートの項目と目標を確かめ、何を見て評価されるのかを本人が理解した状態で期間を始めます。期中には、上司が項目に関わる出来事を短く記録しておきます。期末になってから思い出そうとすると、直近の出来事や印象の強い出来事だけで評価してしまいがちだからです。
期末には、まず本人が自己評価を記入し、次に一次評価者が評価と理由を書き、二次評価者が部署全体の偏りを確かめます。一次評価者と二次評価者の評価が大きく違う場合は、二人で話し合って理由を確かめます。最後に、上司が本人と面談し、評価の理由と、次の期間に伸ばしてほしい点を伝えます。
評価者の間の差を小さくする
同じシートを使っても、評価者によって甘さ・辛さの差が出ます。差を小さくするには、評価の前に評価者が集まり、段階の基準をすり合わせる場を設けます。架空の社員の行動の例を使って、「この行動なら B か A か」を話し合うと、評価者の基準がそろいやすくなります。評価の後には、部署ごとの評価の分布を並べ、極端に偏っている部署がないかを確かめます。
使われなくなるシートの特徴と直し方
項目があいまい
「積極性」「責任感」のような言葉だけの項目は、評価者によって受け取り方が違います。「会議で自分から提案したか」のように、目に見える行動で書き直します。
項目が多すぎる
項目が 20 を超えるような多いシートは、評価者が 1 つ 1 つを丁寧に見られず、全部に同じ段階を付けるようになります。1 人あたり 10 項目前後に絞ります。
一度作って見直さない
事業や組織が変わっても項目が同じままだと、今の仕事と合わない項目が残ります。年に 1 回、評価者と社員の声を集めて見直します。評価の仕組み全体の作り方は、人事評価制度の作り方で扱っています。




