社内の連絡手段は、①急ぎの度合い、②相手が社内か社外か、③後から読み返す必要があるか、④話し合いが要るか、の 4 つで選び分けます。すぐに短いやり取りをしたいなら社内のチャット、社外とのやり取りや記録として残したい連絡ならメール、本当に急ぐなら電話、込み入った話や合意が要る話なら会議、後から何度も読み返す情報なら共有の文書、というのが基本の考え方です。使い分けが決まっていないと、同じ話がメールとチャットに分かれて探せなくなり、急ぎの連絡が埋もれてしまいます。チームで基準を 1 枚にまとめ、迷ったときに見られるようにしておくことが大切です。
それぞれの手段の向き不向き
| 手段 | 向いていること | 向いていないこと |
|---|---|---|
| チャット | 社内の短いやり取り、ちょっとした確認、チームでの相談 | 長い説明、後から探して読み返す情報、社外への正式な連絡 |
| メール | 社外とのやり取り、正式な依頼や通知、記録として残したい連絡 | すぐに何度も往復するやり取り、社内の短い確認 |
| 電話 | 本当に急ぐ連絡、込み入った事情を短く伝えること | 記録を残すこと、相手の都合を考えない連絡 |
| 会議(対面・オンライン) | 意見が分かれる話、合意が要る話、込み入った相談 | 報告だけで済む連絡、1 人で読めば分かる情報 |
| 共有の文書 | 手順、決まったこと、よくある質問への答えなど、何度も読み返す情報 | その場の短いやり取り |
チャットとメールの一番の違いは、やり取りの速さと、記録としての残り方です。チャットは往復が速く、気軽に書けますが、書き込みが次々に流れていくため、後から探しにくくなります。メールは 1 通ごとにまとまった内容を書く形で、件名で探しやすく、社外の相手にも届けられますが、短いやり取りを何度も繰り返すのには向きません。
使い分けの基準の例
チームで決めておく基準の例を示します。
| 場面 | 使う手段 |
|---|---|
| 社内の人に短い確認をしたい | チャット |
| 社内のチームで相談したい | チャットのチームのチャンネル |
| 社外の取引先に依頼や連絡をする | メール(相手がチャットを望む場合は、会社で決めた道具で) |
| 見積・契約・発注など、後で確かめる必要がある連絡 | メール、または書面 |
| 今日中に対応が要る急ぎの連絡 | 電話か直接の声かけ。その後にチャットやメールで要点を残す |
| 意見が分かれそうな話、決める必要がある話 | 会議。決まったことは文書に残す |
| 手順や決まりごと、よくある質問への答え | 共有の文書。チャットではその文書を示す |
| 人事や個人の事情に関わる話 | 対面か、個別のやり取り |
大切なのは、「急ぎはチャット」としないことです。チャットは気軽に送れるぶん、急ぎの連絡も、そうでない連絡も同じように届き、急ぎのものが埋もれます。本当に急ぐ連絡は電話や声かけを使うと決めておくと、チャットの通知を止めて集中する時間を取っても困らなくなります。
1 つの話は 1 つの場所で
使い分けで一番困るのは、同じ話がメールとチャットに分かれることです。例えば、メールで始まった依頼の続きをチャットで話し、決まったことを会議で伝える、という流れでは、後から経緯をたどれません。
これを防ぐために、次のことを決めておきます。
- 話を始めた手段で続ける:メールで始まった話はメールで、チャットで始まった話はチャットで続ける
- 手段を変えるときは、変えたことを書く:「この件は会議で話します」「続きはチャットのこのチャンネルで」と、元の場所に書き残す
- 決まったことは 1 か所に残す:どの手段で話しても、決まったことは共有の文書や案件の記録にまとめる
社外とのやり取りでの使い分け
社外の取引先とのやり取りでは、社内よりもメールの役割が大きくなります。取引先によっては、チャットの道具が使えなかったり、やり取りの記録をメールで残すことを決まりにしていたりするためです。社外の相手と仕事を始めるときは、どの手段で連絡を取り合うか、急ぎのときはどうするかを、最初に確かめておくと行き違いを防げます。
相手と共通のチャットを使う場合でも、見積の金額、納期、契約の条件のように、後から「言った・言わない」になりやすい内容は、メールや書面でも確かめておきます。チャットの書き込みは、道具の設定や契約によっては、一定の期間が過ぎると見られなくなることもあるため、記録として残すべき内容は、会社で決めた置き場所に残します。
離れた場所で働くときの使い分け
在宅勤務や、拠点が分かれているチームでは、顔を合わせて話す機会が減るため、チャットの量が増えがちです。その結果、チャットの通知に追われ、集中して仕事をする時間が取れなくなることがあります。
こうしたチームでは、すぐに返事が要らない連絡は、読み手が自分の都合のよいときに読めばよいものとして扱い、返信の目安を長めに取ります。そのうえで、込み入った相談は短いオンラインの会議でまとめて話し、決まったことを文書に残します。話す場と書く場を分けておくと、チャットのやり取りが必要以上に増えるのを防げます。文書に先に書く進め方は、ハイブリッドでの情報共有漏れを防ぐドキュメントファーストで説明しています。
電話や会議を使うべき場面
チャットやメールで何度もやり取りが続き、なかなか話がまとまらないときは、電話や短い会議に切り替えたほうが早く済みます。目安として、同じ話題で 3 往復しても決まらないときは、話して決めることを考えます。
反対に、報告だけの会議は、チャットや文書で済ませられることがよくあります。会議を開くかどうかの判断や、定例の会議の進め方は、定例会議の進め方で扱っています。
使い分けを崩さないために
基準を 1 枚にまとめる
使い分けの基準は、上の表のような形で 1 枚にまとめ、チャットの全社のチャンネルや社内の手順書の置き場所に置きます。新しく入った人にも、最初の週に説明します。
チャットのルールとあわせて決める
チャットを使う場面では、チャンネルの分け方や返信の目安も決めておく必要があります。社内チャットのルールの例は、社内チャットのルールの例で説明しています。
管理職から守る
管理職が急ぎの指示をチャットで夜遅くに送ったり、会議で決めたことを残さなかったりすると、基準は形だけになります。基準は、管理職から守ります。
実行時の落とし穴
道具を増やしすぎる
チャット、メール、共有の文書、タスクの管理の道具などを次々に増やすと、どこに何があるかが分からなくなります。道具を増やす前に、今ある道具で足りないかを考えます。
すべてをチャットに寄せる
チャットは手軽なため、すべての連絡をチャットに寄せたくなりますが、後から読み返す情報や、正式な記録が要る連絡まで寄せると、必要なときに探せなくなります。
相手の望む手段を確かめない
社外の相手は、会社ごとに使える道具や記録の決まりが違います。自分の会社の基準を押し付けず、最初に連絡の手段を確かめておきます。




