社内チャットのルールは、①どの話をどこに書くか(チャンネルの分け方)、②いつまでに返すか(返信の目安)、③どう書くか(書き方のマナー)、④何をチャットに残さないか(決まったことや手順の置き場所)、の 4 つを決めておくと、多くの行き違いを防げます。チャットは手軽なぶん、使い方が人によってばらばらになりやすく、「返事が来ない」「どこに書いたか分からない」「決まったことが流れて消える」といった問題が起きます。ルールは細かく決めすぎると守られなくなるため、1 枚に収まる程度にとどめ、チームで守れるものから始めることが大切です。

ルールが無いと起きること

返事が来ない、いつ来るか分からない

返信の目安が決まっていないと、送る側は「読んだのか、まだなのか」が分からず、同じことを何度も送ったり、別の手段で確かめたりすることになります。受ける側も、すべてにすぐ返さなければと感じ、集中して仕事をする時間が細切れになります。

どこに何が書いてあるか分からない

同じ話が個別のやり取りとチームのチャンネルに分かれて書かれると、後から探せなくなります。個別のやり取りで決まったことは、ほかの人には見えないため、「聞いていない」ということが起きます。

決まったことが流れて消える

チャットは次々に新しい書き込みが続くため、決まったことや大事な連絡が、すぐに画面の上に流れていきます。後から入った人や、休んでいた人は、何が決まったのかを知ることができません。

決めておく項目とルールの例

チームで決めておく項目と、ルールの例を示します。そのまま使うのではなく、チームの仕事に合わせて直してください。

項目ルールの例
個別のやり取りとチャンネル仕事の話はチャンネルに書く。個別のやり取りは、人事や個人の事情など、ほかの人に見せない話に限る
チャンネルの分け方チーム、案件、全社の連絡、雑談に分ける。新しく作るときは、名前の付け方をそろえる
宛先の付け方返事や作業を求める相手には、宛先(メンション)を付ける。全員宛ては、全員に関係する連絡に限る
返信の目安急ぎと書かれたものはその日のうち、それ以外は翌営業日まで。すぐに返せないときは「〇日までに返す」とだけ返す
急ぎの連絡本当に急ぐものは、チャットではなく電話や直接の声かけを使う
業務時間外急ぎでなければ送らない、または予約の送信を使う。受ける側は業務時間外に返さなくてよい
スレッド1 つの話題への返事はスレッドに書き、チャンネルの流れを分けない
決まったことの記録チャットで決まったことは、議事録や共有の文書にも残す
残さない情報パスワードや、社外に出してはいけない個人情報は、チャットに書かない

返信のマナー

返信のマナーは、送る側と受ける側の両方で決めておきます。

送る側

  • 用件を最初に書く:「お疲れさまです」の後に長い前置きを書かず、1 行目に何をしてほしいかを書く
  • 1 つの書き込みに 1 つの用件:複数の用件を 1 つにまとめると、返事が一部だけになりやすい
  • 期限を書く:「〇日の〇時までにご確認ください」のように、いつまでに何をしてほしいかを書く
  • 「今いいですか」だけで送らない:用件を書かずに相手の都合だけを聞くと、相手は内容が分からないまま待つことになる。用件と、話したい時間の目安を一緒に書く
  • 急ぎかどうかを書く:急ぐものには、急ぐ理由と期限を書く

受ける側

  • 読んだことを伝える:返事に時間がかかるときも、スタンプや「確認します」の一言で、読んだことを伝える
  • いつまでに返すかを伝える:すぐに答えられないときは、「明日の午前中に返します」のように、返す時期を伝える
  • 頼まれたことは言葉で返す:作業や判断を頼まれたときは、スタンプだけで済ませず、「〇日までに対応します」と言葉で返す
  • スレッドの中で返す:返事は、元の書き込みのスレッドの中に書く

スタンプや「了解」の一言で返してよい場面を決めておくと、書く側も受ける側も迷わずに済みます。例えば、連絡事項を読んだことの確認はスタンプでよい、頼まれごとへの返事は言葉で返す、のように分けます。

チャンネルの分け方

チャンネルは、目的ごとに分けます。分け方の例を示します。

種類名前の例書くこと
全社の連絡全社-連絡全員が知るべき連絡。書ける人を限る
チーム営業部、経理部チームの日々のやり取り
案件案件-〇〇社1 つの案件に関わる人のやり取り
問い合わせの受付総務-問い合わせほかの部署からの質問や依頼
雑談雑談仕事以外の話題

名前の最初に種類を付けておくと、一覧で見たときに並びがそろい、探しやすくなります。案件のチャンネルは、案件が終わったら閉じる(書き込みを止める)ことも決めておきます。チャンネルが増えすぎると、どこに書けばよいか分からなくなるため、新しく作る前に、既存のチャンネルで足りないかを考えます。

決まったことや手順は、チャットの外に残す

チャットは、その場のやり取りには向いていますが、後から探して読み返す情報を置くのには向いていません。決まったこと、仕事の手順、よくある質問への答えは、チャットで話した後に、共有の文書や社内の手順書に書き残します。

チャットで決まったことを残すときは、「決まったこと」「誰が」「いつまでに」を短く書き、チャットの書き込みにも、残した場所へのリンクを貼っておきます。こうしておくと、チャットを後から読んだ人も、決まったことにたどり着けます。仕事の手順を残す方法は、業務マニュアルの作り方で扱っています。

離れた場所で働く人がいるチームでは、チャットで話すより先に文書に書き、チャットではその文書を示す、という順にすると、情報の漏れが減ります。考え方は、ハイブリッドでの情報共有漏れを防ぐドキュメントファーストで説明しています。

ルールの決め方と広め方

ルールは、管理職が一方的に決めるより、チームで困っていることを出し合って決めると守られやすくなります。「返事が来なくて困ったこと」「どこに書いたか分からなくなったこと」を出し合い、それを防ぐルールだけを決めます。

決めたルールは、1 枚にまとめ、全員が見られる場所に置きます。チャットの全社の連絡のチャンネルの説明欄や、最初の書き込みに固定しておくと、新しく入った人もすぐに見られます。

運用を始めたら、1〜2 か月後に、守られていないルールや、困っていることが残っていないかを確かめ、ルールを直します。

実行時の落とし穴

ルールを細かく決めすぎる

言葉づかいの細部まで決めると、書くたびに気を使うことになり、チャットの手軽さが失われます。行き違いを防ぐのに必要なことだけを決めます。

管理職が守らない

管理職が夜遅くにチャットを送ったり、個別のやり取りで仕事の指示を出したりすると、ルールはすぐに形だけになります。ルールは、管理職から守ります。

すぐに返すことを評価する

返事の早さを評価すると、みんながチャットに張り付き、集中して仕事をする時間が無くなります。返信の目安を守ることを求め、それより早く返すことは求めないようにします。