社内wikiは、仕事の手順、社内の決まり、よくある質問への答えなど、何度も読み返す情報を、誰もが探して読めるようにまとめた置き場所です。作り方は、①載せる内容と、載せない内容を決める、②全体の構成(ページの分け方)を決める、③ページのひな形を作る、④最初のページを用意してから公開する、⑤書く人と更新の担当を決める、の順で進めます。社内wikiが使われなくなる原因の多くは、道具の使いにくさより、探しても欲しい情報が無いことと、古い情報が残っていて信用されないことにあります。公開する前に、よく聞かれる質問への答えをそろえておくことと、ページごとに更新の担当を決めておくことが大切です。
社内wikiが使われなくなる原因
探しても欲しい情報が無い
公開した直後の wiki にページが少なく、探しても欲しい情報が見つからないと、読む人は「wiki を見ても無駄」と感じ、最初から詳しい人に聞くようになります。一度そう思われると、後からページを増やしても、なかなか見てもらえません。
古い情報が残っている
仕事の手順や社内の決まりが変わったのに、wiki のページが直されていないと、書かれているとおりに進めても仕事が終わりません。古い情報で一度困った人は、wiki を信用しなくなります。
どこに何があるか分からない
ページが増えるにつれて、似たような内容のページがいくつもでき、どれを読めばよいか分からなくなります。ページの分け方や名前の付け方が決まっていないと、書く人ごとに違う場所にページを作るためです。
書く人が限られる
書く時間が業務として認められておらず、書いても評価されないなら、書くのは一部の熱心な人だけになります。その人が忙しくなったり異動したりすると、wiki の更新が止まります。
載せる内容を決める
社内wiki に載せる内容と、載せない内容を先に決めます。
| 載せる内容 | 例 |
|---|---|
| よくある質問への答え | 経費の精算のしかた、有給休暇の申請のしかた、備品の頼み方 |
| 仕事の手順 | 請求書の発行、新しい取引先の登録、月末の締め |
| 社内の決まり | 就業に関する決まりの要点、情報の扱いの決まり、チャットの使い方 |
| 部署の紹介と窓口 | 部署ごとの担当業務と、問い合わせの窓口 |
| 新しく入った人向けの案内 | 最初の週にやること、よく使う道具の使い方 |
| 載せない内容 | 置き場所の例 |
|---|---|
| その場限りのやり取り、日々の連絡 | チャット |
| 書類やデータのファイルそのもの | 共有フォルダ(wiki からリンクを貼る) |
| 仕事の進み具合 | タスクの一覧、案件の記録 |
| 見られる人を限る情報(人事・給与など) | 見られる人を絞った別の場所 |
最初は、社内で同じ質問が何度も来ているものから載せていきます。総務や経理など、社内からの質問を受ける部署に、よく聞かれる質問を 10〜20 個挙げてもらうと、最初に作るページが決まります。
全体の構成を決める
ページの分け方は、読む人が探すときの入り口に合わせます。一般的には、部署ごとと、目的ごとの 2 つの入り口を用意すると探しやすくなります。
| 段 | 分け方の例 |
|---|---|
| トップページ | 新しく入った人向け、よくある質問、部署ごとの入り口、社内の決まり |
| 部署のページ | 部署の紹介、担当業務、問い合わせの窓口、部署の手順書の一覧 |
| 個別のページ | 1 つの手順、1 つの質問への答え |
1 つのページには 1 つの主題だけを書きます。長いページに複数の主題を詰め込むと、探しにくく、更新もしにくくなります。ページの名前は、読む人が探すときに使う言葉で付けます。「経費精算規程」より「経費の精算のしかた」のほうが、探す人の言葉に近くなります。
ページのひな形を作る
ページの種類ごとに、ひな形を用意します。ひな形があると、書く人は迷わずに書き始められ、読む人もどこに何が書いてあるかが分かります。
手順のページのひな形の例です。
- このページで分かること:1〜2 行で
- 対象の人:誰がこの手順を行うか
- 用意するもの:必要な権限、書類、道具
- 手順:番号を付けて、1 つの手順に 1 つの動作
- こういうときは:例外への対応
- 問い合わせ先:分からないときに聞く窓口
- 更新の担当と、最後に更新した日
手順の書き方のこつは、業務マニュアルの作り方で詳しく説明しています。
書く人と更新の担当を決める
ページごとに、更新の担当を決めます。更新の担当は、その内容が変わったときにページを直す責任を持ちます。部署のページは部署の中の担当を、手順のページはその業務の担当者を割り当てます。
書く人を広げるには、次の決まりが役に立ちます。
- 質問に答えた人が書く:同じ質問が 2 回来たら、答えた人が wiki に書き、次からはページを示す
- 手順が変わったら、変えた人が直す:仕事のやり方を変えたときは、その場で wiki を直すことを、変える作業の一部にする
- 書く時間を業務として確保する:月に何時間と決めておく
言葉になっていない判断を、担当者から引き出してページにする方法は、暗黙知が共有されない属人化を解消するナレッジ共有の仕組みで扱っています。
使われ続けるための運用
公開した後に使われ続けるには、普段の仕事の中で wiki に触れる機会を作ります。
質問を受けたときに、答えと一緒に wiki のページを示すと、質問した人は次から自分で探すようになります。新しく入った人の案内を wiki のページで行うと、最初から wiki を使う習慣がつきます。
あわせて、半年に 1 回など、定期的にページを見直す日を決めます。最後に更新した日が古いページを一覧にして、更新の担当に中身を確かめてもらいます。使われていないページや、ほかのページと内容が重なるページは、まとめるか、古いものとして別の場所に移します。
社内の情報の置き場所全体の考え方は、社内の情報共有の方法で説明しています。
実行時の落とし穴
空のまま公開する
ページが少ないまま公開すると、「見ても何も無い」という印象が残ります。よく聞かれる質問への答えをそろえてから公開します。
構成を決めずに書き始める
書く人がそれぞれの考えでページを作ると、似たページが増え、探せなくなります。トップページと部署のページの構成は、最初に決めておきます。
更新の担当を決めない
作った直後は正確でも、更新の担当がいなければ、半年もすれば古くなります。ページごとに担当と最後に更新した日を書いておきます。




