プレスリリースの効果は、配信の件数や掲載の件数だけでは分かりません。配信の件数を目標にすると、記事になりにくい題材でも本数を出すことが優先され、記者からの信頼も下がります。効果は、①掲載(記事になったか)、②流入(自社のサイトに人が来たか)、③行動(問い合わせや資料請求があったか)、④事業(商談や採用につながったか)、の 4 段で測ります。リリースごとに「どの段の、どの数字を動かしたいか」を配信の前に決め、計測用のパラメータと記録の表を用意しておくことが要点です。
配信数が目標になる構造
数えやすいものが目標になる
配信の件数は、担当者の作業だけで確実に増やせます。掲載や問い合わせは媒体や読者の判断に左右されるため、目標にしにくく感じます。その結果、数えやすい配信の件数が目標として残ります。
配信の後を追う仕組みが無い
配信サービスのレポートには、配信先の数や転載の件数が載りますが、自社のサイトへの流入や問い合わせは載りません。自社の側で計測の準備をしていなければ、リリースと問い合わせの関係は分からないままです。
目的がリリースごとに違う
新商品の告知、採用の強化、取引先への信用づくりなど、リリースの目的はそれぞれ違います。目的が違うのに同じ指標で比べると、どのリリースが役に立ったのかを正しく判断できません。
4 段の指標を決める
リリースの目的ごとに、どの段の指標を主に見るかを決めます。
| 段 | 指標の例 | 集め方 |
|---|---|---|
| 掲載 | 記事になった媒体の数、記事の中での扱い(見出し・本文・一覧) | 媒体の検索、取材の依頼の記録 |
| 流入 | リリース経由のサイトへの訪問の数 | 計測用のパラメータを付けたリンク |
| 行動 | 問い合わせ・資料請求・応募の件数 | フォームの記録と、流入元の突き合わせ |
| 事業 | 商談・受注・採用の件数 | 顧客の台帳・採用の記録 |
目的との組み合わせの例です。
| リリースの目的 | 主に見る段 |
|---|---|
| 新商品・新サービスの告知 | 流入・行動 |
| 採用の強化 | 行動(応募) |
| 取引先・金融機関への信用づくり | 掲載(どの媒体で、どう扱われたか) |
| 業界での認知 | 掲載・流入 |
計測の準備をする
リンクに計測用のパラメータを付ける
リリースに載せる自社のサイトへのリンクには、計測用のパラメータを付けます。Google アナリティクスでは、URL に utm_source(参照元)、utm_medium(メディア)、utm_campaign(キャンペーン)などのパラメータを付けることで流入元を識別でき、このうち utm_source・utm_medium・utm_campaign の 3 つは常に使うよう案内されています(出典:Google アナリティクス ヘルプ「URL 生成ツール: カスタム URL でキャンペーン データを収集する」)。
付け方の決まりを社内でそろえておくと、後から集計しやすくなります。
- utm_source:配信サービスの名前、または「pressrelease」
- utm_medium:「pr」
- utm_campaign:リリースごとの名前(日付と題材など)
媒体の記事から張られたリンクには、パラメータが付かないことがほとんどです。媒体からの流入は、アクセス解析の参照元のドメインで確かめます。
掲載の記録を残す
掲載を見つけたら、次の項目で記録します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| リリース名・配信日 | どのリリースの掲載か |
| 媒体名・掲載日 | どこに、いつ載ったか |
| 扱い | 見出し・本文の一部・一覧への転載 |
| 自社へのリンク | 有無 |
| その後の反応 | 取材の依頼・問い合わせ・取引先からの連絡など |
「その後の反応」の欄が、数字に表れない効果を残す場所です。営業や採用の担当者に、「記事を見た」と言われたら知らせてもらう決まりにしておきます。
効果が出ないときの見直し
振り返りで効果が出ていない場合は、どの段で止まっているかで直す場所が変わります。
| 止まっている段 | 疑うこと | 直す方向 |
|---|---|---|
| 掲載 | 題材の新しさ・配信先・タイトル | 題材の選び方と書き方を見直す |
| 流入 | 記事に自社へのリンクが無い・リリースから次の行動が見えない | 自社サイトに詳しいページを用意し案内する |
| 行動 | 来た人が次に何をすればよいか分からない | 問い合わせや資料請求への導線を整える |
| 事業 | 問い合わせの質が合っていない | リリースの対象と狙う顧客を合わせる |
掲載で止まっている場合は、プレスリリースの書き方とプレスリリースのネタの見つけ方で題材と書き方を見直します。流入はあるのに行動につながらない場合は、LP 改善の進め方の考え方でページを直します。
実行時の落とし穴
本数の目標を残したまま指標を足す
配信の本数の目標を残したまま新しい指標を足すと、担当者は結局本数を優先します。本数は目標から外し、記録として残すだけにします。
1 本ごとの結果で判断する
プレスリリースの掲載は、同じ時期の大きなニュースなど、自社で決められない事情に左右されます。1 本の結果で題材や方法を判断せず、数本から半年分をまとめて傾向を見ます。
広報だけで振り返る
問い合わせや商談、応募の結果は、営業や採用の担当が持っています。四半期に 1 回は関係する部署と一緒に振り返り、どのリリースが事業に役立ったかを確かめます。
出典
- Google アナリティクス ヘルプ「URL 生成ツール: カスタム URL でキャンペーン データを収集する」 https://support.google.com/analytics/answer/10917952?hl=ja




