LP 改善(CRO)とは、広告や検索から来た人のうち、問い合わせや購入に至る人の割合(コンバージョン率)を高める取り組みです。広告費を 2 倍にすれば集まる人はおよそ 2 倍になりますが、コンバージョン率を 1%から 2%にできれば、同じ広告費で成果が 2 倍になります。進め方は、①数字で離れている場所を見つける、②なぜ離れるのかを確かめる、③影響の大きい場所から直す、④直した結果を比べる、の 4 段です。デザインの好みで直すのではなく、数字と来た人の声で直す場所を決めることが要点です。
LP 改善が後回しになる構造
広告費は見えるが、LP の損失は見えない
広告費は毎月の請求で金額が見えるため、予算の議論の中心になります。一方、LP で離れていった人の数は、どこにも請求されないため損失として意識されません。その結果、「成果が足りないなら広告を増やす」という判断が繰り返されます。広告を増やしても売上が伸びない構造は、広告費を増やしても売上が増えない原因で扱っています。
直す担当が決まっていない
LP を作った制作会社、広告を運用する代理店、社内のマーケティング担当の間で、コンバージョン率の責任が宙に浮いていることがあります。代理店は広告の管理画面の数字、制作会社は納品までが仕事の範囲で、LP の成果を追う人がいない、という状態です。代理店との役割の分け方は、広告代理店に丸投げしない依頼の伝え方で説明しています。
1. 数字で離れている場所を見つける
まず、LP に来た人がどこで離れているかを、アクセス解析の数字で確かめます。
| 見る数字 | 分かること | 疑うこと |
|---|---|---|
| 流入元ごとのコンバージョン率 | どの広告・検索語から来た人が行動しているか | 広告の訴求と LP の中身の食い違い |
| 最初の画面ですぐ離れた割合 | 最初の印象で離れているか | 見出し・表示の遅さ・スマートフォンでの崩れ |
| どこまで読まれたか | どの部分で読むのをやめているか | 途中の説明の長さ・分かりにくさ |
| フォームに入った人と送信した人の差 | フォームで離れているか | 入力の項目数・必須の多さ・エラーの出方 |
| 端末ごとのコンバージョン率 | スマートフォンとパソコンで差があるか | スマートフォンでの表示と操作 |
流入元ごとに分けて見ることが大切です。全体の平均では、ある広告から来た人がほとんど行動していないことが隠れてしまいます。
2. なぜ離れるのかを確かめる
数字は「どこで」離れているかを教えてくれますが、「なぜ」は教えてくれません。原因は、次の方法で確かめます。
- 営業やサポートに聞く:問い合わせてきた顧客が最初に何を聞くか、何が決め手だったかは、LP に書くべきことの手がかりになる
- 失注した相手の理由を見る:価格・導入の手間・実績など、判断を止めた理由が LP で答えられていないことが多い
- 身近な人に操作してもらう:自社の商品を知らない人にスマートフォンで LP を見てもらい、迷った場所を記録する
- 来た人の検索語を見る:広告の検索語の記録から、来た人が何を探していたかを確かめる
3. 影響の大きい場所から直す
直す場所は、影響の大きさと手間の小ささで順番を決めます。多くの場合、次の順に効果が出やすくなります。
| 順 | 直す場所 | 直し方の例 |
|---|---|---|
| 1 | 入力フォーム | 項目を減らす、任意の項目を後回しにする、エラーをその場で知らせる |
| 2 | 最初の画面 | 誰の何の悩みを解決するのかを見出しで言い切る。広告の訴求と言葉をそろえる |
| 3 | 行動の選択肢 | 「問い合わせ」だけでなく、資料請求など負担の小さい行動も用意する |
| 4 | 判断の材料 | 料金の目安、導入の流れ、よくある質問など、失注の理由への答えを足す |
| 5 | 表示の速さ | 画像の大きさを見直し、スマートフォンでの表示を速くする |
フォームから手を付けるのは、フォームまで来た人はすでに行動を決めかけており、ここでの離脱が最も惜しいからです。
4. 直した結果を比べる
直した後は、変更の前と後のコンバージョン率を比べます。アクセスが十分にある場合は、2 つの案に来た人を振り分けて比べる A/B テストで確かめます。
- 1 回に変えるのは 1 か所にする(複数を同時に変えると、どれが効いたか分からない)
- 比べる期間は、曜日の差をならすため少なくとも 1〜2 週間とる
- 件数が少ないうちに結論を出さない
- コンバージョン率だけでなく、その後の商談や受注に至った割合も確かめる
最後の点が見落とされがちです。フォームの項目を減らして件数が増えても、商談にならない問い合わせばかりが増えては意味がありません。問い合わせの質の見方は、BANT の 4 項目と判定基準が参考になります。
予算の考え方
LP 改善の予算は、広告費とは別の枠として毎月確保します。コンバージョン率が上がれば、同じ広告費で獲得の件数が増え、1 件あたりの獲得の費用が下がります。1 件あたりの採算の見方は、ユニットエコノミクスの計算式と改善の順番で扱っています。
実行時の落とし穴
デザインの好みで直す
社内の意見で色や写真を変えても、離れている理由に当たっていなければ成果は変わりません。直す前に、数字と来た人の声で「どこで・なぜ」を確かめます。
一度直して終わる
広告の訴求や競合の状況が変われば、LP で答えるべきことも変わります。月に 1 回は流入元ごとのコンバージョン率を確かめ、下がった流入元から原因を探します。
広告と LP を別々に直す
広告の文面と LP の見出しが食い違うと、来た人は「探していたものと違う」と感じて離れます。広告を変えるときは LP の最初の画面も合わせて確かめます。




