プレスリリースは、記者が数秒で「記事になるか」を判断できる形で書くのが基本です。記者は毎日多くのリリースに目を通すため、タイトルとリードの 2〜3 行で「何が新しく、誰に関係があるか」が伝わらなければ、本文は読まれません。構成は、①タイトル、②リード(要約)、③本文(背景・詳細・今後)、④画像、⑤会社概要、⑥問い合わせ先、の 6 つです。書き始める前に「このリリースで一番伝えたい事実は何か」を 1 文で書き出し、それをタイトルとリードの両方の中心に置きます。

プレスリリースが読まれない構造

伝えたいことと、記者が知りたいことが違う

会社が伝えたいのは「新商品の良さ」ですが、記者が知りたいのは「読者にとって何が新しいか、なぜ今なのか」です。商品の特長を並べたリリースは、広告の原稿と区別がつかず、記事の材料として扱われにくくなります。

要点が最後に来る

社内の文書のように「背景 → 経緯 → 結論」の順で書くと、要点が後半に埋もれます。プレスリリースは新聞記事と同じく、結論から先に書きます。

事実の裏付けが無い

「業界初」「大好評」のような言葉は、根拠が無ければ記者には使えません。数字や日付、固有名詞など、確かめられる事実が少ないリリースは、記事にしにくいと判断されます。

書く前に決めること

書き始める前に、次の 5 つを 1 行ずつ書き出します。

決めること書き方の例
一番伝えたい事実「○月○日から、○○の新しいサービスを始める」
新しさ「これまで○○だったものを、○○できるようにした」
なぜ今か「制度の変更」「季節」「社会の動き」との関係
誰に関係があるか読者・視聴者のうち、どんな人に関係があるか
裏付けの事実数字・日付・場所・人名・導入の実績など

「なぜ今か」は、記者が記事にする理由そのものです。社会の動きや季節の話題と結び付けられると、記事になる可能性が上がります。リリースの題材の見つけ方は、プレスリリースのネタの見つけ方で扱っています。

構成と型

次の型に沿って書くと、必要な要素が漏れません。

1. タイトル

一番伝えたい事実を、主語と動詞をはっきりさせて書きます。「○○社、○○向けに○○を開始」のように、誰が何をしたのかが一目で分かる形にします。新しさを示す数字や固有名詞があれば入れます。補足は副題に回します。

2. リード(要約)

タイトルの内容を、いつ・どこで・誰が・何を・なぜ・どのように、の要素を使って 3〜5 行でまとめます。記者がリードだけを読んで記事の骨格が作れる状態を目指します。

3. 本文

本文は、次の順に書きます。

  1. 背景:なぜこの取り組みをしたのか。社会や業界の課題、顧客の声など
  2. 詳細:商品やサービスの内容、特長、価格、提供の開始日、対象
  3. 担当者のコメント:開発の担当や代表者の言葉。事実だけでは伝わらない思いを短く
  4. 今後の展開:次の予定や目標

特長は 3 つ程度に絞り、それぞれに裏付けの事実を添えます。

4. 画像

商品の写真、使っている場面の写真、図表など、記事にそのまま使える画像を用意します。画像の説明(キャプション)と、使うときの条件を添えます。

5. 会社概要

会社名、所在地、代表者、設立、事業の内容、ホームページの URL を短くまとめます。

6. 問い合わせ先

記者が連絡する先として、担当者の名前、部署、電話番号、メールアドレスを書きます。記者が急いで確かめたいことがあるときに、すぐにつながる連絡先にします。

配信前の確認

配信の前に、書いた人以外が次の点を確かめます。

  • タイトルとリードだけで、何が新しいかが伝わるか
  • 数字・日付・固有名詞・価格に誤りが無いか
  • 「業界初」「No.1」などの言葉に、確かめられる根拠があるか
  • 専門用語や社内の言葉が、説明なしに使われていないか
  • 問い合わせ先に、配信日に対応できる担当者が書かれているか
  • 画像の使用の条件が明記されているか

根拠の無い最上級の表現は、記者の信頼を損なうだけでなく、広告の表示の決まりに触れるおそれもあります。根拠を示せない表現は使わないようにします。

よくある失敗

宣伝の言葉で埋める

「画期的な」「大好評の」などの形容の言葉が多いリリースは、記者に宣伝と受け取られます。形容の言葉を数字や事実に置き換えられないかを確かめます。

配信して終わる

配信の件数や掲載の件数だけを成果と考えると、リリースが事業の成果につながったかが分かりません。効果の測り方は、プレスリリースの効果を配信数以外で測る指標で扱っています。

配信先を選ばない

関係の無い分野の記者に送っても記事にはなりません。自社の分野を扱う媒体と記者を選び、必要なら個別に連絡します。業界の専門紙や地域の新聞は、全国の媒体より自社の題材を記事にしてくれる可能性が高いことがあります。過去に自社の分野を取り上げた記者の名前と媒体を記録しておき、次のリリースで個別に案内すると、配信サービスだけに頼るより読まれやすくなります。