業務改善提案書は、①今の問題、②その原因、③改善の案、④期待できる効果、⑤進め方と必要なもの、の順に書くと、読む人が判断しやすくなります。提案書を読む上司や経営者が知りたいのは、「何が困っていて、何をすれば、どのくらい良くなり、何が必要か」です。そのため、最初に提案の要点を 2〜3 行でまとめ、問題と効果はできるだけ数字で示し、費用や手間などの必要なものも正直に書くことが、通りやすい提案書の基本になります。会社として改善提案を集める仕組みを持つ場合は、出された提案に必ず返事をすることが、提案が出続けるための一番の条件です。

業務改善提案書の項目

項目書くこと書き方のこつ
表題何の改善か「請求書の発行作業の短縮について」のように、対象と目的が分かる題にする
提案の要点提案の中身を 2〜3 行でここだけ読んでも、何をしたいかが分かるように書く
今の問題何が困っているか時間・件数・ミスの数など、数字で書く
原因なぜ問題が起きているか推測なら推測と書く
改善の案何をどう変えるか変える前と後の流れを並べると伝わりやすい
効果何がどのくらい良くなるか減る時間、減るミス、早くなる日数を数字で
必要なもの費用、道具、人手、時間隠さずに書く。費用は見積があれば添える
進め方いつから、誰が、どう進めるか小さく試してから広げる段取りにすると通りやすい
懸念と対策起こりうる問題と、その対策読む人が気にしそうな点を先に書く

例文

請求書の発行作業を例にした提案書の例を示します(内容は説明のための例です)。

表題:請求書の発行作業の短縮について

提案の要点:請求書を、受注の記録から自動で作る形に変えることで、毎月の発行作業を 20 時間から 5 時間に減らすことを提案します。まず 1 か月、一部の取引先で試します。

今の問題:毎月の請求書の発行に、経理の担当 2 名で合計 20 時間ほどかかっています。受注の記録を見ながら、請求書の書式に手で写しているためです。写し間違いによる請求書の出し直しが、月に 3〜4 件起きています。

原因:受注の記録と請求書の書式が別々になっていて、同じ内容を 2 回入力しているためです。

改善の案:受注の記録から請求書を作る機能を使い、手で写す作業をやめます。担当者は、作られた請求書の中身を確かめて送るだけにします。

効果:

  • 発行作業の時間:月 20 時間 → 5 時間(見込み)
  • 写し間違いによる出し直し:月 3〜4 件 → 0 件に近づける

必要なもの:受注の記録の仕組みの設定の変更(社内で対応でき、追加の費用はかかりません)。設定と試しの期間に、担当者の時間が 10 時間ほど要ります。

進め方:11 月は、取引の多い 10 社だけで試し、時間と間違いの件数を記録します。効果を確かめたうえで、12 月から全社に広げます。

懸念と対策:取引先ごとに請求書の書式が違う場合があります。試しの期間に書式が合わない取引先を洗い出し、個別に対応します。

通りやすくするこつ

問題と効果を数字で示す

「時間がかかっている」「ミスが多い」では、読む人は問題の大きさを判断できません。今の時間や件数を数え、改善でどのくらい変わるかの見込みを示します。数字が無い場合は、1〜2 週間だけ記録を取ってから提案すると、説得力が大きく変わります。

小さく試す段取りにする

いきなり全社で変える提案は、失敗したときの影響が大きく、判断する人は慎重になります。一部の部署や取引先で試し、効果を確かめてから広げる段取りにすると、判断しやすくなります。

必要なものを隠さない

費用や手間を少なく見せると、後で「聞いていない」となり、次の提案が通りにくくなります。必要なものは正直に書き、そのうえで効果が上回ることを示します。

読む人の関心に合わせる

経営者は費用と効果、関係する部署の人は自分の仕事がどう変わるか、に関心があります。提案書を出す前に、関係する部署の人に話を聞いておくと、懸念を先に書け、反対も減ります。

改善の対象を見つけるには、仕事の流れを書き出すと分かりやすくなります。流れの描き方は、業務フロー図の書き方で、部署の業務の洗い出し方は、業務棚卸しのやり方で説明しています。

会社として改善提案の仕組みを回すとき

社員から改善の提案を集める仕組みを作っても、しばらくすると提案が出なくなることがよくあります。その原因と直し方を示します。

出した提案に返事が無い

提案を出しても、採用されたのか、検討されているのか、見送られたのかが分からなければ、社員は「出しても無駄」と感じます。何度か返事の無い経験をすると、提案はほとんど出なくなります。

直し方は、すべての提案に、決まった期限までに返事をすることです。採用しない場合も、理由を添えて返します。「今回は費用の面で見送るが、来期の予算で検討する」のように、理由と次の可能性を伝えると、提案した人は次の提案を考えられます。

提案しても自分の仕事が増えるだけ

提案が採用されると、提案した本人がその実行を任され、通常の仕事に上乗せされることがあります。これでは、提案すると損をすることになります。採用した提案を進める時間を業務として確保し、必要ならほかの仕事を減らします。

評価につながらない

提案や改善の取り組みが評価に入っていなければ、忙しい社員ほど提案しなくなります。提案の件数を評価の目標にすると、中身の薄い提案が増えるため、実際に行った改善と、その効果を評価に入れる形が向いています。

判断する人が決まっていない

提案が誰のところで判断されるのかが決まっていないと、提案は宙に浮きます。金額や影響の範囲に応じて、誰が判断するかを決めておきます。

実行時の落とし穴

解決策から書き始める

「〇〇の道具を入れたい」と解決策から書き始めると、読む人は、なぜそれが必要なのかが分かりません。問題と原因を先に書き、その解決策として案を示します。

他人の仕事の問題を指摘するだけ

ほかの部署のやり方の問題を指摘するだけの提案は、相手の反発を招きます。関係する人と話したうえで、一緒に進める形の案にします。

一度で完璧な案を目指す

すべての懸念に答えた完璧な案を作ろうとすると、提案までに時間がかかりすぎます。小さく試す段取りにして、試しながら直していく形で提案します。