議事録は、話し合いの流れを全部書き写すものではなく、①決まったこと、②宿題(誰が・何を・いつまでに)、③決まらなかったことと次の扱い、を後から誰が読んでも分かる形で残すものです。議事録が無い、またはあっても何が決まったのかが読み取れないと、会議の後に「言った」「言わない」の食い違いが起き、同じ話を別の会議でやり直すことになります。書く人が変わっても同じ形で書けるように、テンプレートを決めておくことが大切です。
議事録のテンプレート
社内の会議で使える基本の形です。項目の順番は、読む人が知りたい順(決まったこと、宿題が先)にしています。
■ 会議名:
■ 日時:2026年○月○日(○)10:00〜11:00
■ 場所:
■ 参加者:(欠席者: )
■ 記録者:
1. 決まったこと
・
・(理由: )
2. 宿題(誰が・何を・いつまでに)
・担当: /内容: /期限:
3. 決まらなかったことと次の扱い
・(何が足りないか、次にいつ誰が決めるか)
4. 話し合いの要点(議題ごと)
議題 1:
・
議題 2:
・
5. 次回の予定:
6. 資料:(資料の置き場所)
項目ごとの書き方と例文
決まったこと
決まった内容を、1 行 1 件で書きます。決まった理由も短く添えると、会議に出ていない人や、後から読み返した人が判断の背景を理解できます。
例:「展示会への出展は、今年は見送る(理由:同じ時期に新しい商品の発売が重なり、準備の人手が足りないため)」
宿題
誰が、何を、いつまでに行うかを、必ず 3 つそろえて書きます。「検討する」「調整する」のような言葉は、何をすれば終わりなのかが分かりにくいため、「3 社から見積もりを取り、比べた表を次の会議に出す」のように、終わりの形が分かる言葉にします。
例:「担当:営業部の山本さん/内容:来年の展示会の候補を 3 つ挙げ、費用の表をまとめる/期限:11月15日」
決まらなかったこと
決まらなかったことを書かないと、その話は忘れられます。何が足りずに決まらなかったのか、次にいつ、誰が決めるのかを書きます。
例:「新しい勤怠の仕組みの選定は、費用の比較がそろっていないため次回に持ち越し。次回の会議(11月20日)で部長が決める」
話し合いの要点
議題ごとに、主な意見と、決まった結論に至った流れを短くまとめます。発言者の名前は、判断に影響した意見や、後で確かめる必要がある意見に限って書けば足ります。
会議の決定事項や宿題を、会議をまたいで追いかける台帳の作り方は、会議の決定事項の共有方法で説明しています。
早く書き上げるコツ
会議の前にテンプレートを埋めておく
会議名、日時、参加者、議題は、会議の前に書いておけます。アジェンダがあれば、議題の欄に写しておくと、会議中は中身を書くことに集中できます。アジェンダの作り方は、会議アジェンダのテンプレートと書き方が参考になります。
会議中に決まったことを確かめる
議題ごとに、「今の話は○○に決まった、でよいですか」と確かめながら書きます。会議の最後に、決まったことと宿題を読み上げ、担当と期限をその場で確かめます。こうしておくと、会議の後に書き直す手間がほとんど無くなります。記録の役目を担う人の決め方は、会議の役割分担で扱っています。
その場で共有の文書に書く
画面に共有の文書を映しながら書くと、参加者がその場で誤りに気づけます。会議が終わった時点で、議事録がほぼ出来上がっている状態を目指します。
議事録の共有のしかた
議事録は、参加者に加えて、決まったことに関わる人に共有します。メールに添付するより、決まった共有の場所に置き、その場所を知らせる形にすると、後から探しやすくなります。置き場所と名前の付け方を決めておくと、過去の議事録をすぐに見つけられます。名前の付け方は、ファイル名の付け方のルールで説明しています。
議事録の記録を残す文化そのものが根付いていない組織の問題と対策は、「議事録を書かない」組織を救う、再確認会議をゼロにする記録術で扱っています。
よくない書き方とよい書き方の例
議事録の良しあしは、会議に出ていない人が読んで、次に何をすればよいかが分かるかどうかで決まります。同じ話し合いを記録した、よくない例とよい例を比べます。
よくない例は、「新しい商品の価格について話し合った。いろいろな意見が出たが、もう少し検討することになった」という書き方です。何についてどんな意見が出たのか、誰が何を検討するのか、いつまでに決めるのかが分からず、次の会議でまた同じ話を最初から始めることになります。
よい例は、「新しい商品の価格は、案 A(1 万円)と案 B(1 万 2,000 円)で意見が分かれた。競合の価格の資料が足りないため、今日は決めない。宿題:営業部の佐藤さんが競合 3 社の価格を調べて表にまとめる(期限:10 月 20 日)。次回の会議で部長が決める」という書き方です。決まらなかったことも、何が足りなかったのか、誰がいつまでに何をするのかが分かれば、話は前に進みます。
会議の種類による書き方の違い
社内の定例会議では、ここまで説明した「決まったこと・宿題・決まらなかったこと」を中心にした形で足ります。前の回の宿題の進み具合を、議事録の最初に並べておくと、会議の最初に確かめやすくなります。
取引先との打ち合わせや商談では、合意した条件、相手に約束したこと、相手から約束されたことを、言葉を省かずに書きます。打ち合わせの後に、相手にも議事録を送って内容を確かめてもらうと、条件の食い違いを早く見つけられます。
取締役会や株主総会のように、法令で議事録を作ることが決められている会議では、記載しなければならない事項が法令で決まっています。社内の会議と同じ感覚で書かず、決められた事項がそろっているかを担当の部署や専門家に確かめます。
書き上げた後の確かめ方
議事録を共有する前に、決まったことと宿題の部分だけでも、会議の進行役か、決めた人に目を通してもらいます。記録した人の聞き違いや思い込みが、そのまま残ることを防げます。共有した後に誤りが見つかった場合は、直した箇所と日付を書き添えて、共有した全員に知らせます。黙って書き換えると、どれが最新の議事録か分からなくなります。
実行時の落とし穴
発言を全部書き写そうとする
発言を全部書き写そうとすると、書くことに追われて話し合いの中身を追えなくなり、何が決まったのかが分かりにくい議事録になります。決まったことと宿題を先に書き、要点は後から補います。
宿題の期限を書かない
担当と内容だけで期限が無い宿題は、後回しにされます。期限が決まらなかった場合は、「次の会議までに期限を決める」と書きます。
共有したきりになる
議事録を共有しても、次の会議で宿題の進み具合を確かめなければ、宿題は進みません。次の会議の最初に、前回の宿題を確かめる時間を取ります。




